ファーストシステムサービス株式会社

苦い経験を教訓に
会社再構築中の2代目若手経営者

ファーストシステムサービス株式会社

取締役 細江 昇平

企業情報
ファーストシステムサービス株式会社
本社:岐阜県羽島郡岐南町平島3丁目163
https://first-system-service.com/

INTERVIEW

深夜勤務のリスクとの決別、働き方の転換へ

──他社で働かれた後、家業であるファーストシステムサービスさんに戻られたとお聞きしました。
その頃、会社はどんな状況だったのでしょう?

2年前の1月に私が戻ってきて、10月頃に死亡事故が発生してしまって‥。
原因としては睡眠時無呼吸症候群っていうところもあったんですけど、深夜帯の業務だったり、本来人としてそぐわない働き方、明るい時間に働いて、っていうのが1番いい働き方っていうところで、私も思った部分もあって。
まずそういうリスクの部分で、深夜帯の業務をやめてくっていうところから始めて。
私がちっちゃい頃から見とったところでいくと、どうしても深夜帯の業務って、離職率もすごく高め。
新しい人が入ってきては辞めるっていうのが続いとる状態で、元々別の運送会社に勤めとった時から、ずっとそういうとこは気になってまして。

深夜帯・日曜業務を減らし、働きやすいようにしたい

──入社後の経緯や現状について教えてください。

親父は冷凍で365日やってきとる人なので、そういうハードなところには行かせたくないっていう親父なりの思いも多分あって、「三重のドライの営業所へ行って勉強してきてもらいたい」っていうことで、三重の営業所へ。
やっぱ冷凍とドライのギャップが大きくあって、そこをまず改善していきたい、働きやすいようにしたいっていう思いで。
なかには冷凍をやりたい乗務員さんもいるんで、その乗務員さんの思いも尊重しつつ、2年かけてちょっと改善してっていうところです。

あとは日曜日の業務も、一般的に休みたいっていう人たちが多い中で、やっぱり求人とかにも影響する部分。
乗務員さんっていろんなコミュニティで喋って、情報源をいっぱい持っとるので、そこでうちの会社イメージが「365日どんな時間でも走っとる会社だ」っていう風になると、やっぱり求人にまた困るっていう部分から、そこをまず改善していきたいっていうところで、だいぶ今は減らしてこれたかなっていうところまで来てはいるんですけど。

大切にしたのは従業員とのコミュニケーション

──確かに求人への影響も大きいですよね。具体的にはどんな取り組みをしてきたのでしょうか?

基本的にはお客さんに断るっていうことはなかなか難しい部分にはなるんで、協力会社さんとかに助けてもらったりとか。
あとは、例えば冷凍だと一斉に業務が変わるよって時とかもあるんですよ。
そういう時に徐々に減らしつつ、いろんなきっかけとかもありながら、ちょっとお願いしつつ変えてくっていうところでやりますね。

そういったなかで、なんとなくやっぱりこの乗務員さんって合っとるか合ってないかっていうところも分かるじゃないですか。
この人って本当にこの仕事をやりたくてやっとるのか?っていう部分。

ちゃぶり(※手積み・手降ろしのこと)の仕事だとか、年配の方の仕事を見た時に、「ようこんな仕事やっとるな」っていうのはやっぱり思ったんですよ。
お客さんに対しても余分な仕事とかもやっとるところも見たりする人なわけで。
こんな仕事をやっとる人が、もっと違う仕事したらもっと働けるわけじゃないですかって考えた時に、すごいもったいないなと思って。 そういう乗務員さんには「どんな仕事をしたいのか」ってこっちから声をかけつつ、例えば50歳の人に、外食のちゃぶりの仕事を、「この仕事ってこの先続けれそうな自信あります?」ってヒアリングしながら、その中で、新しい仕事が出た時に、まず私が自分の目でその業務を確認しに行って、「こういう内容だったんだけどどう?やりたいかな?」って丁寧な引き継ぎをして。
急に「この仕事行ってくれる?」とかじゃなくて、自分がやってみて、今やっとる仕事と比べて、こういう負担も少ないし、こういうところも変わらないし、給料も変えないんで、っていう話までして。
本人も先々を見た時に、長いこと続けてける方がいいわけなんで。

乗務員さんにいい仕事をしてもらいたい、そういう乗務員さんがもっと楽して働いた方がいいんじゃないかな、って思いでコミュニケーションをとっていました。

──会社を変えていくなかでドライバーさんはそんなに入れ替わってないっていうことですか?

そうですね。うちとしては、安定してるかな。
人員にめちゃくちゃ困っとるってこともないですし。
かと言って、今の人員で満足してるわけではないんで、やっぱりいい人がおれば入ってもらってっていうのはやっぱ思うんで。

僕のビジョン的には3年後ぐらいに一旦バシっと給料の規定を切っちゃって、休みっていうのを普通の一般企業のように整えたい。
うち今本当に休みが少ないんで、その分還元しとるんですけど。
でもやっぱり人って日数多く出れば1日のウェイトは下がるんですよ。
結局出てくることでお金がもらえると思っちゃうもんで、ただただ出てくる、だらだら1日働いて、っていう悪い流れですね。

ただ私はいろんなお客さんがおる中で、協力しながら助け合いながらやっとるので、やっぱり今おる従業員さんのおかげでお客さんが助けれとる部分ではあるんで。
ここをズバズバやっちゃうと、パタパタパタと人が辞めて、お客さんに協力ができんくなるっていうところは1番にあるんで。
そうするとやっぱり今の従業員さんが必要な部分ではあるんで。

本当は週休2日とかにして、年間休日も 110日ぐらいはもてるようになると‥。

先を見る人を雇いたい。目指すは年間休日110日。

──いい人がいれば雇っていきたいとのことですが、今後採用していきたい人物像はありますか?

やっぱり「年間休日110日の会社だから」って来るような人を受け入れたい。
今だけを見る人っていうよりは先を見る人を雇いたいなっていうのはあります。
逆に今うちみたいな会社に、先を見る従業員さんが来ても多分その人が「自分が間違っとる」と思っちゃうんですよね。
本当は多分その人が正解なのに、うちの9割が長時間労働に慣れてる人間なんで。

例えば年間休日が110日あると家族との生活を考えれるとか、先々のことを見て仕事につくわけじゃないですか。
昇級があるとか、ボーナスがあるとか、そういうところをまず組み立ててできると、この人優秀だよねっていう風に。
プライベートと仕事が平等にやれる人じゃないとよくないと思うんで、そこでちょっと僕も今つまずくなっていうところはありますけどね。

「私の会社が入って大丈夫なのかな」トラマネに入会してみて

最初は「私の会社が入って大丈夫なのかな」っていうのもあったんで不安な思いでしたけど。でもいろんなところで2年かけて会社をここまで変えれたのは、トラマネで勉強した成果もあってだと思う。
やっぱり私1人で突き進もうってなると、会社のことで考えたら売上を1番に考えなあかんくなってくるところもあると思うんで、そうするとただガムシャラに働いてっていう中ではあったので、そこはそこまでしてそういうことしたらやっぱあかんなって再認識できるなっていうところはとても良かったって思います。

うちのタイミングとかも見ながらですけど、普通「そんなんできないよね」って諦めてしまうところを、「このタイミングでこうしよう」とか、「こういう風にやっとるところはあるわけだから」とかって、バシッと言える部分もやっぱあるんで。
自分だけだと、「これはこうしなかんよ」って教えていただいたとしても、「実際それやれとるとこあるの?」って思いになっちゃうところが、「実際あるよ」っていうところが見えてくることによって、少しずつ一歩一歩進んでけるなっていうのはやっぱ感じれる。

また、この前のトラマネでも聞いた中で、車を綺麗にするっていうことを教えてく部分で、私もやっぱり「うちのトラックはこういうトラックで乗っとって欲しい」とか「この人にこのトラック乗せてよかったな」っていう思いで乗せたいっていうところで、どうしても今までここ2年間ではあんまり踏み込めんかった部分ではあったんで、うちもそこを課題にして、まず綺麗にするっていうところから、進んでやりたいなっていうところで思ったんですけど。

いろんな課題が山積ではある中で、トラマネで色々そういう改善点を常に見つけ出せるので、本当に助け合ってやっていきたいですね。

1人ではくじける可能性もあるなかで、みんなに支えてもらえてここまで駆け抜けれたなっていうのは本当あります。 本当にいいところで、いい人に出会えて、すごい本当に勉強させてもらえたなっていうのは良かったなっていうところですね。