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活動レポート

2024年改善基準決定!休息時間編

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※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第17回  2024年改善基準決定! 休息時間編

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

『改善基準、2024年』ということで、今日は「休息期間」についてお話をしたいと思います。

今日もですね、第一名誠の瀬尾社長にお越しいただいてます。よろしくお願いします。

 

瀬尾)

よろしくお願いします。

 

和田)

「1日の休息期間」ですね。(2024年の改善基準では)「原則9時間以上、11時間以上は“努力義務”」という、こういう風に決まりました。

前回の「拘束時間」でも出ましたけど、この「努力」っていう言葉が出てくると、大体経営者の方は、「そこはじゃあ後回しでいいか」っていう話になってしまいますが、「なぜこの11時間が努力義務で残ったのか?」っていう話なんです。

これも2021年の9月に「脳・心臓疾患の労災認定基準」が改正されまして、色んな労災認定をする基準の中に「休息期間が11時間未満だった回数」だとか、「連続して11時間未満の休息期間が続いた日があった」とかって、そういう(11時間という)ところもこの「脳・心臓疾患を労災認定基準の重要な判定基準の一つになった」っていうことで、「(休息期間は原則)9時間でいいと言いつつ、やはり11時間以上を忘れないでほしい」という(苦笑)国側の願いで「努力義務」という苦肉の策なんでしょうけど、(そういう形に)なってしまいました、という話です。

出来るだけね(基準となった休息期間を)守れるようにした方が、「脳・心臓疾患」のそういう「労災トラブル」に運送会社さんも巻き込まれずに済むもんですからね。そうは言っても、出来るだけそれは(経営者が)努力して、(休息期間が)11時間以上の日を増やした方がいいのかなっていう風に思います。

前回、改正前が“最低8時間以上の休息期間”ですから、今回「1時間(休息期間が増えて)」ですね、さらに「(最低)9時間」っていうことで、「働く時間が1時間減った」っていう、そういう形になってきますね。

裏返してみると、「1日の拘束時間、最大は15時間」。今までは“16時間まで、週に2回まで”やれたんですけども、「2024年の4月から」は、「(1日の拘束時間は)15時間まで(週に)2回しかできない」っていうね、こういう形になってきます。

 さらに言うと、「1週間で1日の拘束時間が14時間を超えるのは2回以内」っていうことになりました。前回の改善基準では、“(1日の拘束時間は)15時間超が(週に)2回まで”っていうことだったんですけど、それも「1日1時間ダウンサイジング」ですね。だから「(最大拘束時間が)14時間」ということなので、(1週間のうち最大拘束時間の15時間を2日使った)後(の日)は全て(拘束時間を)14時間以内にしないといけないっていうことですね。

単純化すれば、「月曜日・火曜日15時間」、最大の拘束時間を使ってしまえば、「水・木・金は全部14時間以内」にしなければいけないっていうね、こういうことになってきましたので、なかなか大きな改正なのかなっていう風に思いますね。

 瀬尾さんどうですか?今まで、例えば“8時間週2回、後は9時間以上休息を与えないといけない”っていう話になっていたところが、今回新しくなると、「週2回までは9時間以上の休息期間で、後はなんと10時間ですよ(笑)!10時間以上の休息期間を与えないといけない」っていうことで、多分瀬尾さんが若い時にドライバーさんをやっていた時のことを考えたら・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

(休息期間が)10時間(笑)っていうのはびっくりするような長さなんじゃないでしょうか?いかがですか?

 

瀬尾)

その当時、数十年前のことを考えたらとてもじゃないですけど・・

 

和田)

ええ。

 

瀬尾)

今、現状で言うと、なるべく1日の拘束時間は13時間に抑えるようにしておるもんですから、そう考えると、ほとんどの日が11時間以上は取れるのではないかなっていう風に思っています。

 

和田)

なるほど、やはりあれですね、例えば20年前の若者と・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

今の、今だと平成生まれですよね?(求人に応募して)くると多分。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

瀬尾さんのところに(応募して)きてるドライバーさん、やっぱり平成生まれが最近増えてるっていうことですか?もういっぱいいますか?

 

瀬尾)

平成生まれもいっぱいいます。

 

和田)

下手したら二ケタ・・・(平成)10年台とか・・・ギリギリ?10年はギリギリダメか(苦笑)

 

瀬尾)

そこまではいないですね。はい。

 

和田)

ちょっと、びっくりですよね!

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

平成生まれのドライバーさんっていう事なんで・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

彼らからしたら「何考えとるの!」っていう話ですよね。「どれだけ働かせるの!」みたいな話ですよね(苦笑)

 

瀬尾)

そうですよね。はい。

 

和田)

だから、やっぱり時代は変わったんだなっていうね。

僕なんか特に50(歳)を超えてますから、ずっとコンサルタントをしてずっと(運送事業者さんと仕事を)やってますけど、やっぱりこの30年で変わった・・かな・・・経営者の頭を変えるのが大変かなっていう、正直(思います)。「俺は若い時な・・・」って言ってたら「さよならオジサン」っていう話になる時代になってきてるのかなって感じがしますけどね。

 

瀬尾)

はい、そうですね。

 

和田)

この「休息期間」に関してもですね、前回の「拘束時間」と一緒で「原則あれば例外あり」っていう形で、「例外規定」が今回初めてですけどね、出来ました。

それっていうのは、「長距離貨物運送のドライバーさんについて」なんですけどね。

じゃあ、その「長距離貨物運送」っていうのはどんなことを言うのかっていう「定義」が、今回初めて「改善基準用の長距離貨物運送とは」っていう「定義」なんですけど、出されました。

 それは、『営業所を出てから営業所にまた戻ってくるまでの「距離」』で見るわけなんですよね。1日じゃなくて、営業所を「行ってきま~す」って対面点呼をして出てって、1日・2日稼働するのか、3日稼働するのか、色々あると思うんですけど、それでまた営業所にまた戻ってきて対面点呼をするまでの「距離」、それが「450km以上の場合」を「”長距離貨物運送”という風に改善基準では言う」、というように今回定められました。

 それが「1週間の運行全てが450km以上の貨物輸送をやっている場合」、なおかつ、「ドライバーさんが」、今日も話をしている「休息を取る場所が住所地以外」、ほとんどが“トラックの中”“車中泊”だとは思いますけども、そういった「条件が全部そろったっていう場合」に「1週で2回まで、8時間以上の休息時間」、前の改善基準と同じですよね、それを1週間に2回まで使える(ことになりました)。

すなわち裏返すと、「拘束時間が(最大)16時間を週に2回まで使える」と。

こういう、一応何て言うんですかね、“激変緩和措置”みたいなものでしょうか。

いきなり働き方改革で(労働時間を)短くするんで、「そうは言っても物流は色々(新しい改善基準が守れるようにするには難しい面も)あるでしょう」という(運送事業の実情の)中で、「長距離貨物運送」っていう(枠組みを作る)ことで、「450㎞という定義」(を設定すること)で、「(週に)2回まで(最大拘束時間を16時間に)出来る」っていう形に(特例を設定)しました。

 でも実際どうですか?“長距離”って、私がコンサルをして思っているのは、長距離貨物(運送)って言うと450kmっていう感じがしないんですよ。片道なら分かりますけど。「往復で450km」っていうと「中距離輸送」な感じがするんですけど。

瀬尾さん、これ業界的にはどんなものなんですか?「450㎞」っていうのは。

 

瀬尾)

そうですね。業界的には、450㎞はおそらく「中距離」と呼ばれるものだと思います。

 

和田)

「日帰り」かもしれないっていう感じですかね?

 

瀬尾)

・・中には可能性もありますね。

 

和田)

ですよね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

あまり無駄な配送がなければ、行って帰ってくるだけだったらっていう話ですよね?

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

だいぶんそういう意味では、この“特例を使いやすいように”国側としては配慮をしたっていう感じですね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

「中距離(輸送)でも1週間(に2回、休息期間を)8時間まで(にすることが)出来るよ」っていう形で、だいぶんこれは経営者側に妥協したなっていうのはすごく分かるんですけど。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

ただ、これはやっぱり、「甘い」ところがあると「厳しい」ところもあって、「(この)特例」にも。

450㎞の仕事で、会社を出て、会社に戻ってきたら、次の日仕事をやるのに「12時間継続で休息を与えなければならない」っていう、非常にこう・・・足かせ・・・重い足かせですかね(苦笑)。そうなると(車両は)半日止められますからね。その辺がなかなか厳しいんじゃないかなっていう風に思うんですけどね。

 これは、どうですかね?瀬尾さんの所は地場中心でやってるから、毎日長距離(の運行をして)、帰ってきたらまた長距離に旅立たせるっていうことはないと思いますけど、長距離(運送)をやっている事業者さんだと、(次の仕事までに休息期間として)12時間空けるっていうのは、効率が悪くなるんですかね?

 

瀬尾)

そうですね。非常にここは苦しくなると思います。

 

和田)

「休み」を与えるのかっていう話ですよね。

 

瀬尾)

う~ん。

 

和田)

かといって、“地場の仕事”をやらせちゃうと、“1週間全部が450㎞以上にならない”から、この特例を使えなくなりますんでね。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

「休み」っていう感じですかね(苦笑)

 

瀬尾)

積んでる荷物の状況にもよりますしね。

 

和田)

そうですね。

 

瀬尾)

帰りの荷物・・・

 

和田)

そうですよね。変わってきますよね。

 

瀬尾)

変わってきますね、う~ん。

 

和田)

だから意外に私が妄想するには、「この(長距離運送後に与える休息期間の)12時間を守れないで、特例だけ上手く使っていこう」っていう事業者さんが増えちゃって、後で監査が入った時にここをガンガンにやられちゃうんじゃないかなっていう気がしてなりませんね。なんか、どうしても。

 

瀬尾)

狙われそうですよね、ここは。

 

和田)

狙われそうですよね!そうなんですよ。私の感覚でいくと、「行政処分」っていうのが改善基準でもあるじゃないですか。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

瀬尾さんもご存知のように、改善基準の中の「連続運転時間」とか「1日の拘束時間」とか「(1日の)運転時間」とかっていう、点数で数えて件数で行政処分って決まるじゃないですか。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

一人のドライバーが1ヶ月で6件以上(違反を)やっていると10日の車両停止とか、16件以上(の違反)だと20日の車両停止っていう行政処分があって。「総件数」なんですよね、違反の。それぞれの。

だけど、「拘束時間」について言えば、293時間を超えていると、その総件数の行政処分とは“別立て”で、「293時間を超えた」っていうので「10日の車両停止」っていうのが今でもあるんですけど。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

それになるんじゃないか、と僕は見ているんですよね。

 

瀬尾)

う~ん。

 

和田)

だってやっぱり「特例」でやっているのに、それで守らないんですから。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

ちょっと悪質・・・かなり悪質になってくると思うんで。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

この(長距離運送後の)12時間(の連続休息期間)が守れない場合に、多分これだけで10日とか20日の車両停止っていう、そういう行政処分を、国交省でもこれから行政処分基準の見直しを来年度中にはやると思うんですけど、多分(処分内容は)厳しくなるので、「特例だけ(上手に)使って、こんな(12時間の休息期間の有無なんて)とこ(運輸局には)分からんわ」っていうやり方をすると痛い目に逢うんじゃないかなっていう所があるんで。

やっぱり、「甘い所には厳しさがある」んで、(きちんと)締められる人じゃないとこの特例は使っちゃいけないのかなって感じがね・・・。

管理も難しいですよね?運行管理者に「おい、このドライバーは今週は450㎞以上だから、帰ってきたら12時間管理するんだろ?」って、いちいち(個別管理を)やらなければいけないので(苦笑)

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

なかなかこれも管理者側としては、(ドライバーを)1週間ごとに管理するのって難しいですよね?

 

瀬尾)

難しいですね。

 

和田)

ですね?やっぱりシンプルに(休息期間は)“9時間”もしくは“10時間”っていうことで(管理をして)、それでちゃんとしっかり安定した売り上げが上がるっていう形にしていった方が、社内的にもスッキリするんじゃないのかなっていう感じがしますよね?

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

一応そういう事です。あとは、さっき「休息期間の特例」の話をしましたけど、「特例の特例」ってやつですかね。「分割休息」。「分割休息期間」っていうのが昔でもあって。今回も(改善基準に)残るんですけども。

昔は、瀬尾さんもご存知だと思いますけど、「1回、仕事の途中で4時間以上の何もしない時間が空けば、それを分割の休息期間の第1回目として認める」と。

(第1回目の休息が)終わった後、「(休息期間は)合計10時間」にならないといけないので、「(第1回目に)4時間取った場合」ですと「(残りは)6時間」、ですね?それ(第2回目の休息としての6時間)を「点呼してから24時間以内の期間で与えられれば」、“連続で”、昔で言うと“8時間以上休息を与えたのと同じ”っていうのが、今回も「9時間連続で休息期間を与えたのと同じ」っていう形で残るんです。

けれども、今回はなんと(1回)4時間ではなくて、「1回3時間以上」で良くて。

しかも「(休息期間の)合計」が、前と同じで「10時間」でいい、という話で。休息期間は8時間から9時間になったので、本来なら合計も11時間にならないといけないところを、そこをやっぱり国は妥協して、「(合計は変更なく)10時間でいいわ」と。「だからこれ(特例の特例)で何とか、色々難しい運行もあるけど、守ってくれ」、という話になったんで、(1回の休息期間)3時間を使って、(合計の休息期間を)10時間以上与えることで何とか(問題を)解消できないか、という話なんですけど。

長距離便の少ない第一名誠さんの所なんでしょうけど、あまりこれはどうなんですかね?使う機会はありそうですか?なさそうですか?いかがですか?

 

瀬尾)

それほど使う機会はないですけど、ただ、今までに「(1回に)3時間だったら分割休息使えたのにな」っていうのが何回かあったんで・・

 

和田)

なるほど。

 

瀬尾)

それを考えると、(1回目の休息期間が)4時間から3時間(に緩和された)っていうのはかなり大きいと思います。

 

和田)

やっぱり「1時間」って、ドライバーさん大変ですよね。トラックの中で1時間って(苦笑)大変そうで・・・

 

瀬尾)

ええ、そうですね。

 

和田)

じゃあ、たまにそういう(1日の中で仕事の間隔が大幅に空くような)事になった時には、例外的に(特例を)使う事で(休息期間の問題を)合法的に(解消)出来るっていう所では、意味はあるはある訳ですね。

 

瀬尾)

と思います。はい。

 

和田)

やっぱりそうなんですね。顧問先のお客さんも、それはおっしゃいますね。「3時間(に減らされたの)は大きいな」っていうのをよく聞くので。多分そういう声を聞いて、(1回の休息期間を)4時間から3時間にゆるく緩和したのかなって感じがしますけどね。

ということで、「休息期間」。

「(最低)9時間でいい」と言いつつ、「3日目以降は10時間以上取らないといけない」っていうことで。実質せめて「10時間」。でも労災のことを考えると「11時間以上休息を取れる日」も努力して増やしていかないとこれからはいけない、という事で。「(休息期間は)最低10時間」という風に考えてこれから準備していった方が、労災トラブルとかのことも両方カバーするとなると、そういう形におそらくなっていくのかな、という風には思います。

そのためには、(休息期間が1時間増えたことで、逆に)1時間働けなくなる訳ですから、やはり粘り強く(荷主と)運賃交渉をして、その1時間分「単価」を上げてもらって、「1時間減っても売上、給料を下げなくてもいい」というね、そういう形に努力していくのが、これからの運送会社の社長さんの重要な役割なのかなっていう感じがしますけどね。

今日は「改正改善基準」の「休息期間」の話をしました。

瀬尾さん、ありがとうございました。

 

瀬尾)

ありがとうございました。

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