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トラマネラジオ

活動レポート

2024年改善基準決定! 拘束時間編

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※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第16回  2024年改善基準決定! 拘束時間編

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

「2024年の改善基準」の内容が決まりました。

 

(現在の改善基準は)大きく言うと、平成元年ぐらいに出来たものなので、“30年以上ぶりの大改正“ということになります。

トラック運送会社さんもバス会社さんもタクシー会社さんもですね、これからそんなに長い期間、(新しい改善基準がスタートする2024年4月まで)準備期間がないものですから、(この短い期間で改正が守れるように)取組みをしないといけない、という話になってくると思います。

今日はですね、一番事業者さんが気になっている「拘束時間」について話をしたいと思います。

「1ヶ月どれだけドライバーさんに働いてもらうか」っていう所は、会社で言えば「売上」、ドライバーさんからすれば「自分の給料」に直結するものすごい重要な内容ですので、この辺を今日は第一名誠の瀬尾社長と話をしたいと思います。

瀬尾さん、よろしくお願いします。

 

瀬尾)

お願い致します。

 

和田)

まずですね、「原則」から話をしますと、「1ヶ月284時間以内」、「最大284(時間)」っていう形で、「原則」ですけどね、あと、「年間3,300時間以内」。こういう風に、「(拘束時間の)原則」が決まりました。

“残念ながら”というのが正しい言い方なのか分かりませんけど、当初は「1ヶ月274時間以内に拘束時間をしたい」という風に目的はあったんですね。

これは簡単な話で、「ドライバーさんの脳・心臓疾患の労災認定者」がですね、ダントツのワーストワン。(これが)ずーっと何年も続いているっていうことで、「この(新しく定める基準の)拘束時間を守れば、過労死ラインである(1ヶ月の時間外労働時間上限の)80時間越えっていうのがなくなる」から、「ドライバーさんの労災の件数も減る」と、そういう話で今回、議論を進めてきた訳なんですけども。

結果は見ての通りで、(決定した1か月の拘束時間は)「274(時間)」ではなく「284(時間)」ということ、“10時間長く”働かせられるという形になってきた訳なんですけども、この辺がちょっとややこしいんですね。

さっき「年間3,300時間」って言いましたけども、「拘束時間」。じゃあ、「1ヶ月284時間」だから、「284時間×12ヶ月」で「3,300時間」になるかというと、ならないんですね(苦笑)。

今の拘束時間だと、「293時間×12ヶ月」やると、「3,516時間」でちゃんとピッタリ、スッキリ合う訳なですけど、なぜだか今回の原則は、「284時間×12ヶ月」やっても「3,300時間にはならない」ということで、管理する側からすると、なんかモヤっとした感じになってくるのかなって思いますけど。

瀬尾さん、この辺はなんか違和感ありませんか(苦笑)?スッキリしないな、と(苦笑)。

 

瀬尾)

そうですね。ちょっと管理がしにくい部分がありますね。

 

和田)

ですよね?

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

運行管理者の人に「(1ヶ月の拘束時間は)284(時間)でいけばいいんだよ~」って言ってるんだけど・・

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

「1年経ったら“108時間オーバー”になってしまう」という事なんで(苦笑)。「途中で270時間ぐらいの月を(調整)しないといけないのか」っていう話になってくるんで。その辺は、改正した内容っていうのは分かりにくいものには少しなっているのかなっていう感じがしますね。

なんでこういう事になったのかっていうと、「経営者側」と「労働者側」の話し合いがあって、当然、「労働者側」は「労災を減らしたい」訳ですから、「(1ヶ月の拘束時間を)274時間にしたい」っていう話になってたんですけど、やはり「経営者側」は「それでは現状、物流は回らないよ」って事になって、「妥協案」として「10時間増やした(=284時間にした)」っていう事(なんです)。

ただ、「厚生労働省」の方からすると「労災」という基本的に重要な問題がある。

となれば、やっぱり「年間を通して(1か月の時間外労働時間を)80時間以内には抑えるような何か決まりは残しておきたい」っていう、お互いのメンツ・・メンツって言ったらおかしいのか・・(そういうものが)あるんでしょうね。

だから「年間の3,300時間」っていうのは、「÷12ヶ月」やると、「1ヶ月275時間」っていう、“年間平均して”ですけどね、(ほぼ労働者側が希望した1ヶ月の拘束時間)になるので、その辺で“お互いの顔を立てた”っていう形の、ちょっと失礼な言い方をすると「妥協案」っていうか「妥協策」っていうか、そういう話になってしまったので、少し実際に管理する側からすると分かりにくい内容になってしまったのかなっていう感じがします。

たしかに、経営者の中で「そんなに労働時間を短くしたら売り上げが減ってしまう」「ドライバーの給料もそうすると、どうしてもそのまま維持できなくなるかもしれない」「運賃が当然(荷主さんに)上げてもらえればいいけど、それは急にこちらが思うような運賃の値上がり方ってなかなか出来ない」というような、その辺の所で悩むわけなん・です・けど。

どうですかね?ちょっと瀬尾さんにここをお尋ねしたいんですけど。

やっぱりそうは言っても、「(1ヶ月)293(時間)の方が良かった」っていう風に言う方もいるんでしょうけど、やはりどうですか?「若いドライバーさん」?

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

う~ん。そういう「今までそんなに長時間で働くことに慣れていない人」っていう所を考えると、やっぱりどうですか?(労働時間を)短くしていかざるをえないんでしょうかね?これは。

 

瀬尾)

そうですね。今後、若いドライバーを採用する、これからの子達が「ドライバー職」に興味を持ってもらうためには、どうしても今の労働時間ではとても”人気がある職”とは思えないもんですから。

 

和田)

なるほどね。

 

瀬尾)

ここは「(労働時間を)短くする必要があるな」という風には思っていました。

 

和田)

あ~・・やっぱり。ドライバーさんも(時間を)長く働きたいっていう人はいないですか(苦笑)?

 

瀬尾)

(苦笑)長く働きたい人はいないですよね。

 

和田)

やはり特に若い人であれば、お子さんが小さかったら、家庭にも時間を割きたいし・・・。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

もっと言うと、奥さんも許さない・・って言うか、仕事だけしかやっていないっていう旦那に対して厳しいんじゃないですかね?若い人は。

 

瀬尾)

そうですよね。はい。

 

和田)

ね。だからそういう意味では、経営者でも「経営者としては物流はそんなに甘くないよ」と、「(1ヶ月)293(時間)でも大変なのに、284(時間)なんて!」って言う方もいらっしゃいますけど・・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

やっぱり、「運送業の将来」とか「会社の将来」を考えると、「若い人に入ってもらわなきゃ話にならない」っていうところが正直ありますよね?

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

そこのところが大事になってくるのかな、と思いますけど。

そこで、さっき「(拘束時間の)原則」のね「(1ヶ月)284時間」「年間3,300時間」っていう話をしましたけど、法律っていうのは「原則」があれば「例外」があるっていう話。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

今回「例外規定」が当然決められまして。

それが『原則の「(1ヶ月の拘束時間は)284時間を超えて最大310時間まで」それを「年6回まで」、「特例」として使うことが出来る』という決まりになりました。

さらに、さっき「年間拘束時間は3,300時間」っていう風に原則では言いましたけど、『「特例」を使う場合は、「(年間)3,400時間」』ですね。『「100時間」1年で余分に拘束時間を延ばしていい』という話(になりました)。(もちろん)今まで通り「労使協定」は結ばないといけないんですけども、こういう形になってきたんですね。

そうすると、どうですかね?普通、私がコンサルタントとして見ていて、「原則」を使う事業者さんは、ホントに少ないんじゃないのかな、という風に思うんですけど。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

ぶっちゃけ瀬尾さんのところはいかがなものなんでしょうかね?

 

瀬尾)

どうしてもそれ(特例)に甘えるわけじゃないんですけど、頭の中で「(年間)3,400(時間)までいい」という風に考えてしまいますよね。

 

和田)

そうですよね。やっぱり「(1ヶ月)284時間を超える月」っていうのはどうしても出てくるんじゃないかなっていう感じが・・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

特に瀬尾さんの所でも、少し(284時間を)出る時はありますか?

 

瀬尾)

そうですね。今の(1ヶ月)293(時間)でも、やっぱり月によっては数名のドライバーが少し出てしまう事があるので、これを今後、あと1年とちょっとでどうしていくのかっていうのが課題ですね。

 

和田)

(拘束時間を原則の時間内に減らすことが)やれなければ、仕方なくこの「特例の6回」の中で上手に使いながら、「(年間)3.400時間」でっていう話・・・

 

瀬尾)

そうですね。はい。

 

和田)

そりゃ、経営者としては(年間の拘束時間を)3,300時間で抑えられてて、(1ヶ月の拘束時間を)284時間で抑えられたら、これは・・・

 

瀬尾)

理想ですけどね。

 

和田)

理想ですね。

 

瀬尾)

理想です・・・う~ん。

 

和田)

で、胸張って若いドライバーさんにも「ウチはこういう会社だよ!」って、やっぱり言いたいですもんね、ホントはね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

特例ばっかり使ってては、そんなことは言えない話になっちゃう(笑)

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

それは確かにあるのかなっていう感じがします。

あともう一つ。「例外規定」ばかりなんですけど。

さっき「(1か月の拘束時間は)284時間を超えて最大310時間まで」っていうのを「(年に)6回使える」っていう話をしたんですけど、これがですね、「連続は3回まで」っていう事に、今回、新しい規制になったんですよね。

今までは、(1ヶ月)320時間まで6回を連続しても、(例えば)1月から2、3、4、5、6月まで、連続320(時間)、320(時間)・・・って使うことが出来たんですけど、今度は、例えば(1ヶ月)310(時間)最大使ったとして、「310(時間)、310(時間)、310(時間)」って「(連続3回)使った」ら、「4ヶ月目は原則の284(時間)以下」に抑えないといけない。その後にまた310(時間)、310(時間)ぐらい(連続で)使って、とかそういう事は出来るんですけど、「連続回数が(最大)3回まで」と決まったっていうことで、少しやっぱり前の改善基準よりは「過労・疲労蓄積をしないような配慮」がこの1ヶ月の拘束時間についても少し“網をかけた”っていう形になってくるとは思うんですけど。

この辺もどうですか?瀬尾さんの所でも、今、暦が、日本も休みの多い月が増えて・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

大丈夫そうですか?「3ヶ月、4ヶ月連続」っていうのは、なかなかならないかもしれないですね?

 

瀬尾)

そうですね。ウチの場合は“大型連休のある月だけ”なんで。

 

和田)

はい。

 

瀬尾)

5月、8月、12月と。そういった所が繁忙期に当たるもんですから、「連続」にはならないのかなっていう風に考えています。

 

和田)

ですよね?だから、どうなんでしょう。引っ越しでも4か月連続で忙しい期間が続くっていうことはなさそう・・・僕はあまり引っ越しの事業者さんを知らないから言っちゃいけないんですけど、4ヶ月連続で引っ越しの期間ってないですよね?多分。

 

瀬尾)

ないですね。

 

和田)

だから、意外にフリー便でやってる事業者さん以外は、そんなに気にしなくていいのかなっていう感じはするはするんですけど。

だから、今、瀬尾さんの話も聞くし、僕の顧問先のお客さんの話を聞いてても、やはり「蛇の道を行く」訳ではないですけど、この「例外規定」の「(1ヶ月の拘束時間)280時間を超えて300時間まで、年間6回」っていうのを上手に使いながら、「年間の拘束時間は3,400時間以内に収める」と。これで基本的にはこれから準備をするっていうことで、中小企業さんは特にそれでいいんじゃないかなっていう風には思いますけどね。

それでもなかなか、どうですかね?「9時間減らす」っていう作業は?前に(1か月の拘束時間を)293時間に減らす作業に苦労された瀬尾さんとしては。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

(笑)なかなか大変なことは想像できるんですけど・・いかがですか?9時間。“たかが9時間”ですけど。

 

瀬尾)

単純に考えて「1日30分」ぐらいですか?

 

和田)

はい。

 

瀬尾)

この30分は大きいですよね・・

 

和田)

ですよね?1日1時間の休憩を取るのもまあまあ大変なのに(笑)

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

さらに30分短くするっていう話になるんで、ねえ。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

なかなかこれは、サラっと言うけど、「たった9時間減らすだけじゃないか」と思いますけど、「今、切り詰めての293(時間)」と考えれば、結構パワーのいる作業にまた、なってくるかもしれないですね。

 

瀬尾)

そうですね。はい。

 

和田)

これは、どうですか?「長距離」も「地場」も同じような課題が残るっていう風に考えていいんですか?おそらくね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

そういう事になってくるかと思います。

今日は「改正改善基準」の「拘束時間」についてお話を致しました。

瀬尾さん、ありがとうございました。

 

瀬尾)

ありがとうございました。

 

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