※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。
トラマネラジオ第18回 2024年問題 連続運転時間編【前編】
進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)
ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)
和田)
「2024年改善基準」の第3弾。「連続運転時間」についてお話をしたいと思います。
本日も第一名誠の瀬尾社長とお話していこうと思います。よろしくお願いします。
瀬尾)
よろしくお願いします。
和田)
前回から「拘束時間」の話と「休息期間」の話っていうのをしてきたんですけども、とかくやっぱり「拘束時間」が、瀬尾社長も思っていると思いますけど、「売上」とか「ドライバーの給料」に繋がっていくもんですから、気にはなっていたと思うんですが、実は、色々今回の改正の内容を見ていくと「連続運転時間」がですね、意外に大きな影響を与えてくるんじゃないのかなっていう風に思うわけなんですよね。
その辺の話を今日、していこうと思います。
「連続運転時間」は「4時間まで連続して休憩等を取らずに運転できる」という形に、“現在の改善基準”はなっています。今回、何が変わったかっていうと、「4時間運転した後に『30分運転しない時間があればいい』」、あと、「4時間運転する間に、『1回10分以上、合計30分以上の運転をしない時間があれば』」今の改善基準では「連続運転時間が『中断できている』と、『(改善基準が)守れている』」という話になっている訳なんですけど、今回の改正はそこが大きく変わって、「その『中断』は原則『休憩』でなければならない」と、そういう風に変わった訳ですね。
だから、「運転しない時間」っていうのは法律では「非運転時間」という風に言われているんですけども、一般的に一番多いのは「荷下ろし時間」とか「荷積み時間」とか、こういったものが「『(運転しない)30分』に入れられる」っていう話になっているもんですから、現況そういう風にドライバーさんがお客さんのところに着いて荷物を下ろしている間に「(非運転時間の)30分」(が)“知らないうちに”というか“自然に”経っちゃって、出発する時にはもう「連続運転時間(の4時間に対する非運転時間)」は「リセット」して「(基準は)クリア」している、という形が多いじゃないかなと言う風に思うんですけども。
この辺のところはどうですかね?瀬尾さんの所は、実際「連続運転時間の中断」は「休憩」で中断することが多いのか「荷役」で中断することが多いのかっていうのは、いかがですか?
瀬尾)
ほとんどがですね「荷役での中断」・・・
和田)
なるほど・・・
瀬尾)
で、「連続運転(時間に対する非運転時間の問題を)」をクリアしている感じですね。
和田)
一回で30分(の中断)ですか?今の場合。それとも10分ずつぐらい細かく切っていかれる中断の仕方を選んでらっしゃる訳ですか?
瀬尾)
車両にもよりますけど、メインとなる車両は10分で切っている形です。はい。
和田)
やっぱり瀬尾さんの所は地場が多いから・・・
瀬尾)
ええ。
和田)
長距離じゃないから、やっぱりそんなに30分も(かけて)下ろす時間が荷物(の量)としてはない、っていう感じ、ちょこちょこ下ろす形が多いっていうことですかね?
瀬尾)
大型トラックは30分ぐらいは(荷役作業に)かかってしまうんですけど、
和田)
そうですね。
瀬尾)
この中型・小型に関しては、どうしても10分ギリギリぐらい・・
和田)
なるほど(苦笑)
瀬尾)
荷積みに・・・ま、荷積みは大丈夫なんですけど、荷下ろしが多いもんですから、どうしてもこれ(1回10分以上、合計30分以上というルール)に頼って今はやっています。
和田)
結構やっぱり10分でも(中断するのは)大変なもんですか?
瀬尾)
大変です!今まで連続運転がクリアできなかったやつを検証した時に、8分、9分で荷下ろしが終わっているケースが多かったもんですから・・・
和田)
う~ん・・・
瀬尾)
ここをドライバーに指導して「申し訳ないけど、もうあと(中断時間が10分になるまで)1分2分待ってからの出発をしてくれ」っていう(お願いをしている)ので、(連続運転時間の中断問題を)クリアしていますね、今は。
和田)
それでも、大分時間がかかりましたか?やっぱりドライバーさんに(中断時間の考え方を)浸透させるまでに。
瀬尾)
そうですね。やっぱり「次、次・・・」と行きたいのが・・・
和田)
行きたい(笑)
瀬尾)
当然ドライバーの心理なので・・・
和田)
そうですね。
瀬尾)
結構時間がかかりましたね。
和田)
そうですよね、ドライバーさんとしては、午前中なら午前中の(内に)なるべく早く(客先を)回りたいっていうのがあるでしょうからね。
瀬尾)
はい。
和田)
「あんまりその無駄な2分3分、やることないのに(10分間の中断になるまで待つのは)嫌だ」っていう話で、なかなか(ドライバーさんに)言うことを聞いてもらうのに大変だったかなっていう感じがするんですけども。
瀬尾)
はい。
和田)
今回ですね、そこの部分ですよね。この「休憩」にしなければいけないっていう話に大きく変わるじゃないですか?
瀬尾)
はい。
和田)
そうすると、そこをどういう風に、ね?「荷役時間」はやっぱり絶対必要なわけで。
瀬尾)
はい。
和田)
どこで10分でもそうですけど、(休憩を)取ってくるかっていうのが、なかなか大変な形にはなってくると思うんですね。
そのために今回の改正では「“おおむね”10分以上の休憩で合計30分以上」っていう形で少し緩和されているっていう風にはなってはいるんですね。
例えば「連続2回までだったら10分未満も30分以上の休憩に入れられる」という話になっているもんですから、「8分・8分・8分」っていう風に休憩を取った場合に、1回目と2回目の8分は30分の休憩に入れられるけど、3回目の8分は入れられない、っていう形で、(2回分の)16分は休憩にできるよ、という話で。
「そういう細かい(特例を設ける)ことで頑張って(改善基準を守れるように)やってくれないか」っていう、そういうメッセージなんだと私は解釈しているんですけども。
瀬尾さんいかがですか?これからドライバーさんに、(新改善基準の)施行までに1年ちょっとですけど、どんな感じで改善活動をしていかれますか?
瀬尾)
そうですね。今回の改正されるこの改善基準で、第一名誠で最も課題が大きいところだと、私自身感じているんですけど、今、現時点では、「荷積み」「荷下ろし」っていうのを当たり前にドライバーが全てやっている所を・・
和田)
なるほど、なるほど。
瀬尾)
「いかに荷主さんの方にご協力してもらうか」っていうのが課題になってくるかな、という風に感じでいます。
和田)
なるほど、なるほど。例えば、「30分(作業時間が)あった中で、何分か(荷主さんの方で荷役作業を負担)できないか」とか、そういう話ですよね?
瀬尾)
そうですね。
和田)
10分以内も(休憩に)入れられるわけだから、「8分か10分、ここは(荷主側で)やってくれませんか?」とかって、そういう話ですよね?
瀬尾)
はい、そうですね。
和田)
その積み重ねで、どこまで2024年3月までに行けるかっていう感じですか(苦笑)?
瀬尾)
はい。
和田)
なかなか簡単な話ではなさそうですね?お聞きしている範囲内では。
瀬尾)
そうですね。着荷主?っていうんですかね。
和田)
はい。着荷主さん。
瀬尾)
ここは直接お話ししたり交渉するところではないもんですから、そこに理解を頂くことは非常に難しいと思うんで・・・
和田)
なるほど。
瀬尾)
はい。ここをどうしていくかっていうところだと。
和田)
そうですね。今回の改正基準の最終の報告書の中にも、当然そこは役所の方、厚生労働省も含めて分かっている“らしく”て。
瀬尾)
はい。
和田)
今年の12月に改正されて来年の1月からだと思いますけど、かなり荷主さんに対して国から「要請」っていうんですかね「こういう風に(休憩を取るために荷役作業に割く時間が)短くなるからやっぱり(荷主側の)協力が絶対必要になるからね」と。「あまり協力しない場合は、国交省と連携して色々と圧力をかけるよ」っていう話のことは、来年の1月からどうも荷主さんにやっていくみたいなんで。
瀬尾)
はい。
和田)
多少は、来年になると少しずつ理解を示してくる荷主さんが出てくるとは思いますけど・・・
瀬尾)
はい。
和田)
ただ何でもそうですけど、全部が全部一気に理解して頂けるとは限らないもんですかね、自社努力でもどこまでやれるかっていうのも、両方並行して今からやっていくしかないのかな、という感じですね。
瀬尾)
そうですね。
和田)
なかなかねやっぱり、何て言うんでしょうね、一方的に「休憩ボタン、なるべく押せよ!」みたいな感じで(ドライバーに)言いたくなる事業者さんが多いんじゃないかな、という風には思いますけど、やはり「パワハラ」かどうかは分からないにしても、強引に「押せ!」っていう風に命令する事に関しては、法律的にも問題があるでしょうし、後々ですねそこに関して色んなトラブルが出てくるんじゃないかなっていう風に、私の中では想定できるんですよね。
だから、今回はこの「連続運転時間」の「概要」と「(今から改善に)取り組んでいかなきゃいけない」っていう話をしましたけど、次の回のYouTubeでは、この「連続運転時間」の「中断の休憩問題」で、どんなリスクとかトラブルが考えられるのかっていう話をしてみたいかなと思っています。
今日は瀬尾さんありがとうございました。
瀬尾)
ありがとうございました。