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トラマネラジオ

活動レポート

2024年問題 連続運転時間編【後編】

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※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第19回  2024年問題 連続運転時間編【後編】

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

「2024年改善基準」の第3弾、「連続運転時間」について今回もお話をしたいと思います。

本日も第一名誠の瀬尾社長とお話をしていきます。

瀬尾さんよろしくお願い致します。

 

瀬尾)

よろしくお願いします。

 

和田)

前回はですね「連続運転時間」の話、特に「『中断』が『休憩』じゃなければ“原則”いけなくなった」と、そういう話をしました。「なかなか休憩っていうのが取れないんだよな」っていう話も瀬尾さんの方からお話をしたんですけども、今回は、その難しい「休憩が取れない問題」に関して、「具体的にどんなことが今後起こりうるか?」という話をしていきたいと思います。

実は、簡単に言えば「“偽装”が増える」という事が想定できる訳なんですね。

やっぱり今まで「『荷役時間』で30分以上で連続運転時間が中断できました。今度はそれを『休憩』にしないといけないですよ」ってなった時に、じゃあ「荷役時間30分経ってから、もう30分そこの荷主さんのところで(休憩を取るために)停まっていられるか」っていう問題がまず一つあります。そりゃまあ、色々荷主さんも(荷物を次々に)出していかなきゃいけないとかしなきゃいけないんで、(荷役が済んだ車両は速やかに)出てってくれっていう話におそらくなると思うので、なかなかそれ(荷主さんの敷地で休憩を取るために駐車し続けること)も難しい。じゃあ他の場所で、コンビニとかそういったところで停まって(休憩が)やれるのかっていう話になってくると、なかなかコンビニも長い時間(駐車場に)いると店長さんから怒られたりとかする場合もあるしっていうところで。

そういった時に「偽装」っていう問題が、“自然と”とは言わないですけども、起きてくるんじゃないのかな、と。

ドライバーさんも「休憩時間を取る」ことによって「拘束時間を奪われる」、拘束時間の中に休憩時間が含まれてますから、「30分余分に(休憩として時間を)取る」ということは「30分仕事が出来なくなる」っていう風に、考え方を変えるとなる。運送事業者さんの方も、売り上げがなかなか「30分分稼げなくなる」っていう話なんで。

そこのところが、ドライバーさんとこの事業者さんの思惑が一致しちゃうと、「”裏”労使協定」じゃないですけども「“休憩したこと”にしてしまおうか」みたいなね、こういう「誘惑」にものすごく駆られるんじゃないでしょうかね。

簡単に言うと、「荷役をしているんだけど、休憩ボタンを押してしまう」と。そういう問題ですね。これがすごく「流行る」というと軽い言い方ですけども、かなり増えてくるんじゃないのかな、と。

じゃあそれについて、本当ににこの運輸局が(事業者に)監査に入った時にですね、(その中断が)「休憩なのか」「その休憩が本当なのかどうか」っていうのを見抜けるノウハウがあるのかどうかっていうのが、この辺がすごい試されるところではあるんですよね。

書類を見ているだけではなかなか分からない。

たしかに、「令和6年の3月が荷役時間が例えば1日3時間」あったのに、「令和6年の4月、翌月になると(荷役時間が)0時間」になれば、そんな“素晴らしい改革”が出来るのか?っていう話で、“若干疑わしいな”っていう風には思うでしょうけど、なかなかそれが「虚偽なのかどうか」っていうのはその書類だけでは分からないんじゃないのかな、っていうところがあるので。

ここのところは“イタチごっご”というか、当然、当局もそれを放置する訳にはいかないでしょうから、色んなところが色んな方法を考えてくるんじゃないのかなっていう感じがしますね。

私の、ちょっとこの間相談があった方だと、やはり、お客さんの所に労基署が入ったんだけども、労基署がそのお客さんのお客さん、すなわち元請け運送会社に調べに入る、と。「裏付け」を見に行く、というところですね。そういう形のことを、“税務署みたいなこと”をやっている訳ですね。「本当にこの請求書はその会社に払われてるのかどうか」みたいなね。「架空経費になっていないか」みたいなことと一緒で、労基署もそういうことを今は”やる”という話なんでね。

運輸局もやっぱり、そう考えると「元請け運送会社」とか「荷主」に対しても「裏付け」で「調査」に入ったりっていうことも十分考えられるんじゃないかなっていう感じがしますね。

(調査の結果この行為が違反とみなされると)「乗務記録の不実記載」になりますんでね、「ウソの休憩を書く」とですね。「不実記載」っていうのは、その違反1つだけで「60日車」。車両停止ですね。「60日間の車両停止」っていうかなり重い行政処分になりますので、結構大変な事になってくるんじゃないですかね。

「連続運転時間」っていうのは、どの運送会社も大体1日1回違反できますので。「(1ヶ月に)20日稼働」だと「20回」改善基準の違反件数になりますのでね。仮に長距離(運送)なんかやってる場合ですと、(1日に)2回くらい連続運運転時間を中断しなければならない場合があるので、それを中断し忘れると、「20日(稼働)」で「40回」の改善基準の違反になってくるので、こうなってくると、結構「30日間の事業停止」っていうのまでチラチラ見え始めるような、そのくらいこの「連続運転時間の中断」っていうのは、運送事業者さんにとってはものすごく大事になってくるのかなっていう感じがします。

「(荷役時間を休憩とするのは)偽装だからやらない方がいい」っていう話にはなってくるんですけど、この辺のところがですね、実際なんで「連続運転時間」をわざわざ事業者さんが苦しむような「休憩」にしてきたのかなっていう事を考えた時に、まず国連の労働機関「ILO」ですね、「国際労働機関」っていうところが日本に対して、「ヨーロッパやアメリカがドライバーはそれ『休憩時間』で『連続運転時間を中断』しているのに、なんで日本だけ休憩じゃないんだ!」っていうように叩かれていた訳ですね。それはやっぱり、厚生労働省の方も(その追及には)耐えられない、と。もういい加減(連続運転時間の「中断」を)「休憩」にしたいっていう形で、今回これが頭によぎって強引に(改善基準の改正を)やったっていうのが、一つはあるんですけども、もう一つ重要な所としては、「『荷積み』とか『荷下ろし』の”料金”」ですね。「(荷役)料金」がじゃあ「(荷主から)もらえてるのか?」っていう話なんですよね。

(荷役料金が荷主から運賃とは別に)もらえていれば、100歩譲って運送事業者さんもドライバーさんも潤うわけだから、多少はしょうがないなっていうことになるんですけども、なかなか私のお客さんに聞いてても「勝手に(運賃料金に荷積み・荷下ろし料金が)込みになってる」っていう話になってると。「今の運賃にそれ(荷役料金が)入ってるから」って、なんか後付けのような回答を(荷主さんから)もらうことが多いみたいですね。

やっぱり瀬尾さんの所も、いくらなんでもすぐ「運賃」と「(荷役)料金」は別で、「荷下ろし料金、じゃあいくら払います」って応じてくれる荷主さんはなかなか難しいんじゃないかなって思うんけど、どうですか?

 

瀬尾)

そうですね。何社かお願いしたことはありますけど、やっぱり「『待機料』と『その他付帯業務(料金)』は別途頂きたい」っていう話をしても、(荷主さん側は別料金とすることに)理解に苦しむ・・・形ですね、今は。

 

和田)

やっぱりなんか当たり前になっちゃったんですかね?何十年間、そういう風にどこの運送会社さんも(荷役料金を)もらってないっていう話・・・

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

ですね。

 

瀬尾)

ええ。「それを含めた運賃じゃないの?」っていう・・・

 

和田)

(苦笑)

 

瀬尾)

どうしても(そういった)回答が多いですよね。う~ん。

 

和田)

だからそこを今から請求書を分けて、「ここから運賃もらいます」って、なかなか事業者さんとしては(荷主さんに)言いにくいですよね?やっぱり。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

だから多分、厚生労働省とかの方も、そういうのもあったんじゃないのかな~と思って。

今さらそこで「お金(=荷役料金)をもらおう」というよりも、もう「『連続運転時間(の中断)』で『休憩』が要りますから、ちょっと荷役作業は今までのように出来ません」みたいな感じで(国の改善基準で決められてるって)やっちゃった方が、(荷主さんとの荷役に関する問題が)解決できるんじゃないかっていうね、そんな考えもね少しあったんじゃないのかなっていう気が、私は思います。

そういう意味では、今回の「連続運転時間の休憩で中断する」っていう問題が、ドライバーさんが、“無駄なこと”とは言わないですけど、「荷下ろし業務」、当然重要な仕事ではあるんでしょうけど、その「荷下ろし(業務)」があるおかげであれですよね?「荷物事故」を起こして、結構「弁償金」というか(苦笑)払って・・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

ドライバーさんも自分の給与やボーナスに響いてっていう形で、ものすごいモチベーションが下がるっていう所がやっぱりありますよね?実際。

 

瀬尾)

ありますね。う~ん

 

和田)

なのに、「荷役料金」はもらっていないっていう・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

この”情けない状況”みたいな話があるので。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

やっぱりそう考えると、この「連続運転時間の休憩問題」っていうのはプラスにも考えられなくもないのかなっていう感じがしましたけどね。

今までは多分、瀬尾さんもどうですか?「休憩時間」って気にされたのって、やっぱり「労働基準法の1時間」ですよね?どうですか?

 

瀬尾)

そうですね。そこがほとんどですね。

 

和田)

ね?「労働基準法の1時間を取らないとやっぱりいけないかな」っていうので、労基からも指導されますんでね。それで「休憩時間」っていうのは結構気になっていたはずなんですけども、今回、「改善基準の『連続運転時間』の『中断』に原則『休憩』」っていう風に、「休憩時間」が、ちょっと何て言うんですかね、変な言い方すると”格上げされた”感じでしょうかね、すごく大事なものに休憩時間っていうのがこれから運送事業者さんにとってはなってくるもんですから、ここのところをですね何とかドライバーさんの、前回の話と一緒で、(休憩時間についての認識を変えるよう)話し合いをしながら、あと荷主さんとかも(今後は荷役時間と休憩時間は別枠として考えてもらえるように、荷役料金のことも含めて)話をしていくことが大事になってくるのかなっていう風に思いますね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

特に、どうですか?「着荷主さん」「発荷主さん」ってありますけど、どうですか?なかなか両方とも(事業者側の事情を)理解して頂けないものなんですか?

 

瀬尾)

まだ「発荷主さん」はお願いすれば聞いて頂けるケースっていうのが多いんですけど、「着荷主さん」は直接話が出来ない分、どうしても声が届かないですよね・・・

 

和田)

はあ~、そうですね・・・。だから前回お話ししたように、これから厚生労働省、国交省は「発着荷主両方に」っていう風に一応プレッシャーをかけていくっていうスキームは作ったみたいなので・・

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

なかなか全部が全部俊敏に動いてくれる訳ではないにしろ、「着荷主さん」も少しずつ勉強にはなるんじゃないですか?(厚生労働省や国交省から)言われるから、「あんまり僕たちも変なことをドライバーさんが来た時にやってると、これって法律問題になるのかな?」みたいな話の所があれば、ちょっとずつは変わってくる“かも”しれないっていうところが(ありますよね)。時間はかかるでしょうけどね。

 

瀬尾)

はい。そうなってほしいですね(笑)

 

和田)

なってほしいですね。それも国も分かってて「発着荷主」っていう形で「”着荷主も含めて”周知していくよ」っていうことなのかなっていう感じがしますけどね。

 そういうことで、「休憩時間の取得ができるように指導監督すること」っていうのが、やはりこれは全ての「長距離をやっている会社」「地場をやっている運送会社さん」、両方とも重要な改善項目になってくるのかなって思いました。

 今日も瀬尾さんありがとうございました。

 

瀬尾)

ありがとうございました。

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