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活動レポート

2024年改正 改善基準Q&A 連続運転時間編 運転の中断は原則として休憩の解釈

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※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第24回  2024年改正 改善基準Q&A 連続運転時間編 運転の中断は原則として休憩の解釈

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

今日は、「改正改善基準」の「Q&A」が2023年の3月に発表されました。これが「改正改善基準の内容をどう解釈するか」っていう“決定版”ですので、この中の「連続運転時間の中断」について、お話をしていきたいと思います。

今日も株式会社第一名誠の瀬尾社長とお話を進めていきたいと思います。

瀬尾さん、よろしくお願いします。

 

瀬尾)

よろしくお願いします。

 

和田)

「改正改善基準」の中で「『連続運転時間』についてどうなるか」っていうのが、おそらくほとんどの運送事業者さんとか管理者さんが気になっている所なんじゃないのかなっていう風に思いますので、今日はその話をしたいと思います。

 「連続運転時間」っていうのは、「今の改善基準」では「『4時間運転する間』に『1回10分以上、合計30分以上』の『運転をしない時間』」、まあ“非運転時間“っていう風に法律では言うんですけど、「(そういった時間)を作らなきゃいけない」っていうことで、「荷積み・荷卸し」とかそういう時に「トラックが動いてなければ」、それで(その作業時間が)「1回10分以上、合計30分以上あれば」、「4時間の間で(そういった運転をしていない時間を)取ってくれれば」、「連続運転時間の中断」は「上手くいってますよ」と「成功してますよ」っていう風に、今、「解釈してる」と。

で、今回の 2024年の4月から始まる「改正改正基準」では、それについて「原則『休憩』を与えなきゃいけない」と。すなわち、「荷積み・荷卸し」とかそういった「作業」していては「原則ダメ」なんだ、と。そういう風に決められた、という話なんですね。

 瀬尾さん、これはご存知ですよね?

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

これ聞かれて、どう思います?なかなか「(連続運転時間の中断を本当の)休憩」にするっていうのは、難しいですか?瀬尾さんの所では。

 

瀬尾)

もう、ウチは一番、今回の改正の中で「一番厳しいところだな」という風に思ってました。

 

和田)

やっぱりあれですか?「荷卸し」とか「荷積み」の時間で、「“自然に”10分以上経過」して、「4時間運転する間に“知らない間に”30分経過してしまって」、まあ「(連続運転時間の中断の基準を)クリアしてた」っていう、そういうことが多いっていうことですかね?今までは。

 

瀬尾)

そうですね。それが多かったですね。

 

和田)

やっぱり、「そういう(作業)時間(での中断)はダメ」で、本当に「休憩」?「ドライバーが何もしない時間」を「10分以上合計30分以上取る」っていうのは(難しいですか?)。やはり30~40名、多分いらっしゃると思うんですけど、ドライバーさん。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

それ(本当の休憩)を出来るドライバーさんって、実際何人ぐらい、何割ぐらいなんですか?どうなんですか?実情は。

 

瀬尾)

そうですね~。今思うだけでも、半分以上(のドライバー)は出来ないと思います。

 

和田)

あっ、そんなに難しい・・・事なんですか?

 

瀬尾)

そうですね、はい。

 

和田)

瀬尾さんの所は、「地場だから」っていうことですか?やっぱり「地場運送」をやってる事が多いからですかね?

 

瀬尾)

そうですね。”運行上”別に停まってもいいんですけど、「(休憩を取る間にトラックを駐車する)場所」ですね、問題は。

 

和田)

なるほど。

 

瀬尾)

お客さんの所で(休憩のためにトラックを)停まらせてくれるのであればいいんですけど、そんなことは難しいと思うんですよね。次から次へと・・・

 

和田)

なるほど。

 

瀬尾)

車や色々(敷地内に)出入りがあると思うので。

 

和田)

のんびりしてないですもんね、現場は。

 

瀬尾)

ええ、そうですね。それで外に出てしまうと、「じゃあどこに停まるんだ?」っていう・・・

 

和田)

そうか・・・。特に名古屋市内なんかだと、コン・・ビニ、か(苦笑)?

 

瀬尾)

そうですね(困)コンビニも、じゃあ「”大きいトラックが余裕を持って入れる所”が何店舗あるんだ?」っていう・・・

 

和田)

そんなにないですね。国道沿いのコンビニとかぐらいしか、もうないですよね。

 

瀬尾)

そうですよね、ないですよね。

 

和田)

もしくは、(大きなトラックをコンビニの駐車場に)停めたら、店長がちょっと(でもトラックが)来たら「すぐ出てってくれ」って言われそうな感じですよね、なんかね。

 

瀬尾)

そうですよね、う~ん。

 

和田)

なるほど。それがですね、今回「決定版」ということで、厚生労働省が出した「(改善基準の)Q&A」で出てるんですけど、たしかに「(連続運転時間の中断は)原則は『休憩』」としなきゃいけない。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

で、一つあるのが、「業務の実情等を踏まえ、『短期的に見直しが難しい等の特段の事情がある場合』には、『必ず休憩を与えなければならないものではない』」っていう、“トンデモナイ”というか“ビックリする”というか、こういう「解釈」が、ここに記載されてるんですね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

もっと読んでいくと、「荷積み・荷卸しや荷待ちを行ったとしても、改善基準告示違反となるものではありません」っていう風に、明確に書いてあるので。

簡単に言うと、今まで通り「荷積み・荷卸し・荷待ち」で「トラックが10分以上動いてなければ」・・・

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

「(その作業等の時間を)連続運転時間の(中断の)30分の中に入られれる」という!

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

ビックリするような(笑)

 

瀬尾)

ビックリする!ほんとに、ウチにとってみたら、もう~、願ってもない(笑)状況になったなっていう、はい。

 

和田)

そうですよね(笑)。「(改正された改善基準は)何だったのか?!」という、逆に言うと。「原則として『休憩』」って書いてあるので、「『休憩』はどこに消えてってしまうのか?」ぐらいな、なんかビックリするような”大解釈”ですよね!

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

そこまで、ある意味「現場に即した」(笑)っていう言い方が正しいのかもしれないですけど。 僕もそうですけど、「原則納税」で「難しい場合は納税しなくていい」って言ったら、「納税しない方」に行くかもしれないんで。私も大した人間じゃないもんですから。

 

瀬尾)

(笑)ええ、ええ。

 

和田)

だからそれだと、この「原則『休憩』」っていうのは、“何の意味があるんだ?”って、ちょっと疑問を感じちゃうんですけど。どうですか?ほとんどの中小(運送事業者)さんは、「特段支障がある」とか「事情がある」っていう方にどんどん解釈していっちゃうんじゃないかなって気がするんですよね。

 

瀬尾)

そうですね。当然、皆さん“良い方”にしか、“都合の良い方”にしか解釈しないと思います。

 

和田)

ですよね。だから一つ効果があるとすれば、「原則『休憩』」っていうのが、やはり労働組合があるような中堅以上の運送事業者さんであれば、労働組合さんから「いや“原則”って書いてあるんだから、休憩が全くないのはやっぱりそれは会社としておかしいだろう!」と、「労働者の労働環境を全然良くしようという気がないのか!」みたいな感じでね、おそらく”突き上げ”は、間違いなくこの来年(2024年)の4月以降出てくるので。

間違いなく1年、2年、3年、5年と経てばですね、中小・中堅以上、労働組合があるような中堅以上の運送会社であれば、「原則『休憩』の率」が高まってくるんじゃないかなっていう感じはしますよね、逆に言うと。

 

瀬尾)

はい、そうですね。

 

和田)

そうなった時に、運送事業者さんのドライバーさんの間で「いや~、なんかちょっと大きい会社行くと、運転した後、休ませてくれるんだよな」っていう評判が、少しずつ立つんじゃないかな、と私は見るんですね。

 

瀬尾)

そうですよね。

 

和田)

片や、中小企業さんだと(本当の休憩をドライバーに取らせることが)出来ないから、「まあいいや、もう“特例”で言われる通り、ドライバーは運転した後もリフト作業とかやって、それで疲れが取れるんだ。あいつらは。」みたいな感じで、無茶苦茶な”解釈”をしてですね、“昭和の解釈”じゃないけど、そういうやり方をしている会社と中堅以上の運送会社との労働環境が、すごい差が、(この先)5年ぐらいで開いちゃうんじゃないかなっていう感じはね。

 

瀬尾)

そうですね。そこはやっぱり思いますけど。でも“大手さん”だから、じゃあ「(休憩のためにトラックを駐車しておく)場所が確保できるのか?」っていう疑問には思いますよね。

 

和田)

(笑)そうですね。だから、その辺は多分、大手さんが動けば、荷主さんもっていう話になってくるかもしれないですよね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

「休憩室を作る」なのか、どうするのかは、「駐車場にそういう風に(休憩用の場所を)作るのか」は分からないですけどね、どこまで(荷主さんに)余裕があるかはね。ちょこっとずつだけど、(改善基準に合わせて)動くんじゃなかろうかっていう感じはね、しますよね。

だから、どうなんでしょうね。瀬尾さんの会社のドライバーさんって、下は20代から 上は 50、60代まで・・・?

 

瀬尾)

60代までいますね。

 

和田)

やっぱり同じドライバーさんと言っても、随分その「働き方」とか「価値観」って違いますよね?

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

やっぱり、僕のお客さんも色々言ってるけど、一番顕著に(違いが)出てくるのは、「有給休暇の取得」ですよね?

 

瀬尾)

はい、そうです。

 

和田)

50代、60代はあんまり(有給休暇を)取らない。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

「働いて、ちょっと稼ぎたい」っていう感じの人の方が多い・・ですかね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

でも、20代、30代もそうかな?もう、“当たり前のように”というか、「それ(有給休暇を)取って、普通だよね」っていう感じで、やっぱり取られますもんね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

なので、やっぱりそう考えてくると、今後の、またこれからの20代なり、今の10代の子達とかに“支持される中小の運送会社”っていう事を考えると、やっぱりこの「(連続運転時間の中断が)原則として『休憩』」っていうのも、あながち軽視できないかなっていう感じに思うんですけど。

瀬尾さん、どう思いますか?中期的・長期的ビジョンで。

 

瀬尾)

僕は逆にここ(連続運転時間の中断の解釈)はこのままで、その代わり「1日の中で60分以上の休憩を必ず取らせる」、そちらが厳しくなるんじゃないかと思いますけど。

 

和田)

なるほど。「連続運転時間」にこだわる訳じゃなくて、「休憩」ね。

 

瀬尾)

「休憩」。「“本当の”休憩」をやっぱり「60分以上」っていう所は、厳しくなるんじゃないかっていう風に、今、これを見て感じましたね。

 

和田)

たしかに、工場とかで働いてると、午前中に休憩があったりしますよね?お菓子食べる休憩時間が、10時半だったかな?にあったり、午後も3時におやつを食べたりしてる訳なんで。そう考えるとドライバーさんって結構、特に「地場」の人って忙しくて、結構、時間に追われて大変な感じはしないでもないですけどね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

だから、そこを「休憩時間」、たしかに「労働基準法で定まっている1時間ギリギリ(の休憩を)」与えるんじゃなくて、それが「1時間半」とか与えられるっていう、そういう会社に出来れば、中小(企業)としてもちょっと魅力のある運送会社に、おそらくなるのかもしれないですね。たしかにね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

だから、そういう意味では、今回のこの「連続運転時間の中断」の「休憩」っていうのは、色々経営者さんの「どういう会社にしたいのか」「ドライバーさんにどういう働き方(をしてもらいたいのか)、(ドライバーさんが健康的に)働けるような(労働)環境にしたいのか」っていうの(ビジョン)が、結構反映されるような感じはしないでもないなって思いましたけどね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

なので、 (Q&Aの内容を見て)結果ホッとはしたんですけど。私のお客さんで「なかなかこの『(本当の)休憩』って取れない」っていうので悩んでみえたんで、この「特段の事情」っていうのが、ものすごい僕の中で頭の中に150%ぐらいの大きさで出てくるんですけども。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

しかし、ここ(特例)だけに“安住”しててもなかなかいけないのかな、と。「中堅(運送会社)に良いドライバーさんが取られていくんじゃないか」っていう”リスク”も考えながら、色々運送会社さん、中小(企業)の方は考えていかなきゃいけないのかな、という風には思いましたけどね。

瀬尾さんもこの辺の所は、また、そうですね、1年、2 年した時に、「どんな感じになりましたか?」っていうのは、お話を聞かせて頂ければいいかな、と思います。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

今日は、「新しい改善基準」の「連続運転時間の中断」についてお話を致しました。

瀬尾さんありがとうございました。

 

瀬尾)

ありがとうございました。

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