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トラマネラジオ

活動レポート

バス会社社長・運行管理者 実刑判決 貸切バス転落事故から学ぶ指導者への教育

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※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第28回 バス会社社長・運行管理者 実刑判決 貸切バス転落事故から学ぶ指導者への教育

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

「運送会社の社長実刑」。

「軽井沢のバスの事故」の判決ですね。地方裁判所なんですけども、第一審の判決が下りました。

このトラマネラジオでも「前編・後編」ということで「事故に学ぶシリーズ」でこのお話をしましたけども、改めて、第一審ではありますけども、“非常に重い”判決が下りましたので、この話について今日も株式会社第一名誠の瀬尾社長とお話をしたいと思います。

瀬尾さん、よろしくお願いします。

 

瀬尾)

よろしくお願いします。

 

和田)

ショッキングといえばショッキングな「判決」・・・ですよね?

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

「バス会社の社長」と「元運行管理者」2人が、それぞれ「実刑判決」が出たっていうことで。

「運送会社の社長」「運行管理者」が「実刑」っていうのは、あまり僕も記憶にないんですね。せいぜい、「その運行管理者の方が逮捕されて、裁判になるけども、執行猶予がついて、結局終わり」というパターンがほとんどでしたからね。(事故の原因が)「過労運転」とかでもですね。

だから、今回の判決っていうのは、下級審ではありながら、割合トラック運送業界やバス業界、タクシー業界に対して、ある意味すごく“ショッキングな判決”だったんじゃないかな、と思います。

この件について、瀬尾さんに色々お話ししたいな、と思います。

以前のトラマネラジオでもお話ししたんですけど、「事故の発生が予見できるかどうか」っていう話が、今回の裁判の「有罪かどうかの焦点」だったんですね。

それで、どうなんでしょう。

今回の場合で言えば、「『大型2種の免許を持ってるドライバー』にもかかわらず、やはり『新しく会社に入ってきたドライバー』について、『その運転技量が確かであるか・免許通り確かであるか』っていう所を『運送会社・バス会社が確認しなければいけなかった』」と。

こういう話が、多分単純にこの判決を分解すると、こうなるんですね。

その辺の話を、瀬尾さんにまずお聞きしたいんですけど。

 

瀬尾さんの所にも、入社するドライバーさんで、「大型免許を取った人」とか、色んな「中型免許ある人」とか(が新たに)入ってくると思いますけども、やはり「運転免許を持っている」だけでは、実際の運行する上では、“しっかり安全運転できるかどうか”は分からないですか?どうですか?

 

瀬尾)

それはもう、免許だけでは全く分からないですね。

 

和田)

やはり今までのご経験で、そういうビックリするような事例もありましたか?

 

瀬尾)

あります、はい。「よく免許取れたな」っていう方もやっぱり中にはみえますんでね。

 

和田)

あー、そういうことですね。やはり(会社に)入って頂いたけど、試用期間中に「(業務を任せるのは)ちょっと無理じゃないか」って事で、「お引き取り」というか、「(ドライバーさんの)合意の下で」という話になると思いますけど、そうなった(辞めて頂いた)方もやっぱり事例もある訳ですね?

 

瀬尾)

ありますね。

 

和田)

ということは、瀬尾社長から見ると、「(新人ドライバーの運転技術を確認する事は)当たり前」ってことですか?やっぱり。「(添乗で)乗ってみて、どういう運転をするのかっていうのを確認する」のは、「(確認を)しなきゃ怖くて(独り立ちさせる事は)出来ない」っていうレベルですか?

 

瀬尾)

そうですね。「怖くて(独り立ちさせる事は)出来ない」ですね。

 

和田)

あっ、そうなんですね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

やっぱり、そう・・・(なんですね)。私も色んな社長さんに聞くんですけど、「いや~、そんなの、(運転技術を確認せずに独りで)運転させれんよ」と。「どんなに忙しくて、ドライバー不足であっても、やはり何日間か(実際の運転技術を)見てみないと、とてもちょっと怖くて、独り立ち(の許可は)出来ないね」っていう話(をされる方)は、やっぱり多いんですよね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

だから、そういう意味では、このバス会社というのは、ある意味かなり(確認が甘いですね)。「3回横乗りしただけ」っていう話でしたよね?

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

それと、その亡くなられたバスの運転手さんも、「5年ぐらいマイクロバスしか運転してないんで、自信がないから(大型バスの運転の)経験を積ませてほしい、練習させてほしい」っていう事も訴えてたみたいなので。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

その割に「(添乗指導が)3回」では、ちょっと「(対応が)手薄」というか、「新人教育(不足)」というか、(このドライバーさんの場合は)新人とは言わないんでしょうけど、やはりそう言われても仕方ないんですかね~?

 

瀬尾)

そうですね、そう思います。

 

和田)

瀬尾さんの所は、どうですか?何か、「新人教育」、特に「横乗り」の部分で、色々工夫してやられてる点っていうのは、もしあればですね、ちょっとお聞かせ願いたいんですけども。

 

瀬尾)

ええ、そうですね。当然、「未経験」と「経験あり」とで、差はあるんですけど。

 

和田)

そうですね、まず2つ(タイプが)ありますね。

 

瀬尾)

ええ。いずれしても、「未経験者用の添乗記録」「経験者用の添乗記録」っていうものを作成して、何か起きるたびに見直し見直し・・・

 

和田)

あ~、そういうことね。

 

瀬尾)

「添乗記録の見直し」をしてはいるんですけど。

 

和田)

なるほど。

 

瀬尾)

でもよくよく考えて、(添乗記録を見直しして教育していても)一向に、やはり「独り立ちしてからのちょっとしたトラブル」というのが起きる訳ですよ。どうしても。新しいドライバーっていうのは。

 

和田)

はい。

 

瀬尾)

それを考えて突き詰めると、「添乗指導をする『指導者の指導』が、しっかり行き届いてなかった」という所に行き着いて。

 

和田)

あ~、なるほど、そこですか。

 

瀬尾)

そこですね。はい。

 

和田)

「ここも何?(指導を)やってなかったの?」っていうのが気づく訳ですね(笑)?「え?」っていう。

 

瀬尾)

そうですね。「何でここを教えてなかったの?」っていう。ええ。

 

和田)

だからある意味、特に「新人」で、「初めて他業種から来た人」なんかだと、ちょっと「不満」というか「不信」にはなりますよね?「全然教え(てもらってない)。そこをそんな大事だったら、何でもっと(教えてくれなかったのか?)、添乗指導やったんだから。」っていう話になってきますもんね?逆に言うと。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

そこをちょっと瀬尾さんとしては、「色々力入れていかなきゃ」という所ですか?

 

瀬尾)

そうですね。良かれと思って「一人のドライバーに指導を任せる」んではなく、「独り立ちしてから、色んな先輩に(疑問に思ったことを)聞けるように」ですね、「複数のドライバーに添乗指導を任せていた」んですよね。

 

和田)

はい。

 

瀬尾)

それが「良い面」と「悪い面」が両方あって。

確かに、独り立ちしてから、1日共にしたドライバーが何人かいた方が、その(質問したい)時に「色んな人に聞きやすい」というのは、すごい「良い面」なんですけど。

 

和田)

「人間関係が出来上がりやすい」っていうことですね?ええ、はい。

 

瀬尾)

そうです。それが一歩間違えると、「この人はここを教えてくれた」「この人は何も教えてくれない」とか。

 

和田)

(苦笑)

 

瀬尾)

「この人は細かく教えてくれる」けど「この人は全く細かい所を教えてくれない」とか、そういったのが出てしまう、という所が欠点ですよね。

 

和田)

まあ「ドライバーさんの性格」があって、「なんとなく」で「経験で教えてる」っていう部分が、「悪い方」に出ると、そうなる訳ですね。

 

瀬尾)

そうですね。「悪い方」に出ると・・・。中には“職人肌”というのか、「見て覚えろ!」みたいな。

 

和田)

「俺の背中を見て!」みたいな(笑)

 

瀬尾)

(笑)

 

和田)

“昭和”ですね(笑)

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

なるほど。だから、そういう意味で、やっぱり、もうちょっとこう”金太郎飴”みたいな感じで、「誰が乗っても、ポイントは絶対同じ事を言う」ぐらいの話にした方がいいですね。

 

瀬尾)

そうですね。「全く同じ」というのは無理だと思うんで。

誰でも「ここは絶対教えろ!」という所・ポイントに関しては、「指導者側の指導」っていうのは、徹底していかないといけないかな、という風に思いました。

 

和田)

やっぱり、そうですよね。

例えば、3人指導者がいて、Aさん・Bさん・Cさんで、同じ事を言った部分があったら、「そこが一番重要だ!」ってのは、分かりやすいですよね?確かにね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

それが、Aさん・Bさん・Cさんが「(それぞれ)重要だ」って言うけど、「みんなバラバラな事」を言ってると、「あれ?」って話になっちゃうから。

 

瀬尾)

そうですね、はい。

 

和田)

その辺の所を(今後、徹底される訳ですね)。具体的にはどうですか?どんな感じで「(指導内容を)統一させていく方法」があるんですかね。「(社内の添乗)指導員の人」を「レベルを同じような感じにする」っていう・・・のは。

 

瀬尾)

そうですね。「(添乗)指導者側に対する指導記録」みたいなものが、やっぱり(自社に様式の用意が)ないものですから。

 

和田)

あ~、そうか!「こういう風で、ここが重要だから、絶対みんな指導してくれよ!」っていう事が、ない訳ですね?

 

瀬尾)

ないです。

 

和田)

「任せきりになっちゃう」。ある意味、“良い意味”だけど、「(各添乗指導者に)任せきりになってた」ということですね?

 

瀬尾)

(添乗指導者は)「添乗指導記録」だけ持たされて、そこの項目に沿って、チェックさせる。それで、何か(気づいた事が)あれば、その点に対して注意する。それだけだから。

 

和田)

なるほど、なるほど。そういうことか!

意外とやってないかもしれないですね?他の中小(事業者)さんでも。「添乗指導員の(指導)レベルを同じようにする教育」っていうのをやってないですよね?多分ね。

 

瀬尾)

なかなか(添乗指導員に対する教育は)やれてないと思いますね。

 

和田)

「貨物事業法」とかの法律でも、確かに「運行管理者の研修は2年に1回」「整備管理者(の研修)も2年に1回」(の規定が)ある。だけど、「添乗指導員」って、「(定められた研修は)何もない」ですもんね?

 

瀬尾)

何もないですね!

 

和田)

だから、我々がやってるこの「トラック・マネジメント協会」でも、会員さんの中には、わざわざ「自動車学校で『添乗指導員の養成』をやってる」っていう事業者さんもいますもんね?

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

やっぱり、その方に聞くと、「同じような所を(添乗指導員)全員が言うから、新人ドライバーが分かりやすい」みたいな事は、言ってましたんで。

やはり、そういう所が、一つこれからの(運送事業者さんにとって)「ワンステップ上に上がるため」には、必要事なのかもしれないですけどね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

だから、今回のこの「軽井沢の(バス)事故」に関して言うと、「(添乗指導を)3回しか乗ってない」というと、“何もやってない(のと同じ)”ですしね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

ましてや、「ドライバーから(追加の指導の)訴えがあった」のにも関わらず、「(添乗指導を追加で)やらなかった」っていう所とかね。色々とこの辺、常識では少し考えにくい部分はあったのかな、っていう感じが、ちょっとしましたよね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

「法律の話・流れ」で言いますと、今回(のバス事故で)も「社長」と「元運行管理者」(それぞれ)「『個人』が罪に問われた」訳なんですけど、ヨーロッパとかアメリカだと、「会社自体」に「刑事罰」という形で(罪に問われますので)。

(さらに)イギリスだったかどこか(の国)の法律は、「無制限に罰金がかけられる」みたいですよ?「1億円」とか「10億円」とか「100億円」とかっていう(罰金額)が、「会社に対して」ですね(請求されるようです)。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

だから、そこまで「(法律的な)決まり」があると、おそらく日本の運送会社の社長さんも「『安全管理』ってのは、もっと徹底しなきゃいけない」っていう意識が、ようやくみんな持つようになるのかな、っていう感じでね。

今は、どうしても「秘書がやった」みたいな感じで、「運行管理者が(必要業務を)やってなかった」とかっていうので、「経営者が逃げ切れてしまう」っていう部分がありますしね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

全然“異業種”ですけど、「北海道の遊覧船の事故」でも、やっぱり、これだけ(たくさんの方が)亡くなったんだけど、「経営者は、あまり認識が薄いな。“責任の重さ”っていう事に対して、認識が薄いな」っていう所がやっぱりあるので。

 法律面で言うと、こういう運輸会社に対して、「(本来会社として)やるべき事が、安全対策がやってない場合に、すごい高額な罰金を科していく」っていう、こういう「ペナルティ」みたいなものがあった方が、(いい加減な対応をしている運輸会社が)淘汰されるんじゃないのかな、っていう感じはしましたけどね。

 後、最後なんですけど、「ドライバーさん(が)独り立ちする時」っていうのは、さっきの軽井沢の(バス)事故でも、(事故を起こしたドライバーさんは)「やっぱり(独り立ちするのは)自信がない」って(会社側に)言ってた訳ですよね?

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

社長でもそうですけど、あと運行管理者の方か分からないですけど、(新人ドライバーさんに)確認はするんですか?「大丈夫ですか?」って、「自信はつきましたか?」みたいな。例えば、「来週から1人で(運転業務が)できますか?」 みたいなのは、(事前に)確認される機会はあるんですか?

 

瀬尾)

そうですね。まずは運行管理者の方が(新人)ドライバーと話をして、「いついつから(単独業務を)予定してるけど、大丈夫か?」という話をした上で、「大丈夫」という事であれば、最終的に私が自ら(新人ドライバーと)面談して・・・

 

和田)

ほ~・・・

 

瀬尾)

「(独り立ちの)GOサインを出す」というのか。最後にやっぱり自分から(新人ドライバーに)伝えたい事があるので。

 

和田)

なるほどなるほど。でも、珍しいですね!

中小企業さんでも、社長さんが「独り立ちの時」に、いちいち(面談して)「もう一回(新人ドライバーに話しておきたい事を)伝える」っていう会社も、そうそう(ないと思います)。例えば、10社あって、10社やっていないっていうか、もっとホントに少ないと思うんで。

それはいつから?いつからそんな感じ(ですか)?最初から?昔からなんですか?

 

瀬尾)

いや、昔からではないですけど・・・

 

和田)

でも(新人ドライバーに)何か伝えたい、と。

 

瀬尾)

ええ、そうですね。

 

和田)

すごくそれは良い事だと思いますけどね。

 

瀬尾)

はい。それだけ「苦い経験」があったからこそ(苦笑)、なんですけどね。

 

和田)

そうですね。「一言、(改めて新人ドライバーに)言っておけば、もうちょっと、さらに意識して『安全運転』してくれるかな」っていう所ですもんね。

 

瀬尾)

そうですね、はい。

 

和田)

でも、それはすごい「中小企業の運送会社ならでは」の、「社長が、最後に直に新人ドライバーさんに(大切な事を)言う」っていうのは、新人ドライバーさんからすると、いきなり社長に独り立ちの前に会って、話を聞く訳ですから、ある意味、その内容については(新人ドライバーさんの)印象に残るんじゃないかな、という風に、すごく“良い取り組み”というかですね、“良いやり方”だなっていう風に、私は思いますけどね。

 今日は、「軽井沢のバス(事故)の判決」ですけど、「経営者・元運行管理者が実刑判決」っていう事が出ましたので、改めてこの話題についてお話をさせて頂きました。

瀬尾さん、ありがとうございました。

 

瀬尾)

ありがとうございました。

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