※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。
トラマネラジオ第2回 運送業 コロナ禍の求人実情
進行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)
ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)
和田)
はい、第2回を始めたいと思います。
「コロナ禍」でドライバー不足だと言われているんですけども、第一名誠さんの瀬尾社長にどうかというのをちょっとお尋ねしたいと思って、最初その質問から始めたいと思います。
瀬尾さん、どうですか?コロナ禍。去年(2020年)からコロナが始まっていますけども、実際、去年はドライバー募集っていうのはされたんでしょうかね?
瀬尾)
そうですね。数年ぶりに、昨年(2020年)はですね、求人をかけない年になりました。
和田)
なるほど。はい。もうほんとに、それまでは毎年(まいねん)のように(求人を)してたっていうことですかね?
瀬尾)
そうですね。1年に1回はどこかで求人を出すっていうことは行っていましたね。
和田)
なるほどなるほど。今年(2021年)になってからはどうですか。どれくらい、求人されて、新しく第一名誠さんに入ったドライバーさんっていうのは何人ぐらいいらっしゃるんですか?
瀬尾)
今年(2021年)に入って、5名入社していただきました。
和田)
あっ、5名も入ってるんですか?!今、今日だと(2021年)10月の上旬時点で5名入っているという・・
瀬尾)
はい。
和田)
年齢構成とか、ザクっとでいいので教えていただきたいんですけど。
瀬尾)
そうですね。20代・30代の人ばかりを今年は入っていただきました。
和田)
は~、なかなかあのね、今20代・30代って、ドライバーさんって入っていただくっていうのは難しい、特に中小の運送会社さんは難しいと思うんですけど。運送会社にいらっしゃった方が入る場合と、全然異業種の方が入ってくる場合とあると思うんですけど、瀬尾さんの場合はどちらのタイプのドライバーさんが多いんですか?
瀬尾)今年に限っては“経験者の方のみ”採用しました。
和田)
は~、そうですか。実際、こんなにコロナ禍で不況というかね、言われてて。なかなか勤めているところを辞めるっていう勇気というかね、なかなかないと思うんですけど、わざわざ(前会社を)辞めてまで、瀬尾さんのところに来たっていうのは何か理由とかって。全員分じゃなくてもいいんですけども、数人分でもどんな理由だったのかっていうのを教えていただけませんでしょうか。
瀬尾)
ウチの特徴としては、すべて「日勤」しかないというのと・・・
和田)
なるほど。「1日で帰ってこられる仕事」っていうことですね。
瀬尾)
はい。「朝出発して、夕方・夜までには帰る、仕事」と。ゼロじゃないですけど、「ほとんど長距離をやらない、トラックで車中泊する仕事っていうのがまずない」という、ここが大きかったんじゃないのかな、という風に思います。
和田)
やっぱり、ちょっと自分のライフスタイルではそっちの方がいいっていう方が、前の運送会社さんを辞めて瀬尾さんのところに来たという、そういう感じですね。
瀬尾)
はい。
和田)
なるほどなるほど。よくわかりました。どうですかね、なんか、ドライバーさんって色々昔のドライバーさんと傾向って変わってきていると思うんですけど。実際どうですか?面接・・・電話でいきなり、こう、かかってくるドライバーさんとか多いんですかね?
瀬尾)
今はもう皆WEBからの応募ですね。
和田)
あっ、もう全員?電話はほとんどない感じですか?たまにあるぐらいですか?
瀬尾)
その中で電話は“問い合わせ”はあります。
和田)
うんうんうん。
瀬尾)
「ちょっとお聞きしたいんですけど」っていう部分ではあるんですけど。
和田)
なるほどなるほど。
瀬尾)
ええ。応募自体は、もう全部WEBからの応募ですね。
和田)
そうなんですね。実際あれなんですか?もうドライバーさんは20代・30代の方っていう、多いっていう話なんですけど、いきなり面接の日に訪れるのか、どんな感じの傾向なんですか?今の若い人たちって。ちょっと、昔の人だとね、いきなり電話かけてきてね、いきなり面接に来るって形が多いんですけども。今の若い方って、どんな傾向なのかなっていうのがちょっと知りたいんですけどもね。
瀬尾)
まず第一に、ウチのHPをしっかり、見て。
和田)はあ・・・
瀬尾)
それから、“土日休日”って書いてあるので、ほんとに土曜日日曜日に車両が停まっているか、っていうのを会社まで見に来ているっていう・・・
和田)
(笑)
瀬尾)
“夜勤・夜の運行はありません”っていう。だから、夜にもほんとに車庫にみんな帰ってきているのか、っていうのまで確認する子がいました。
和田)
あ~、そういうことですか。やはり、ここが運送業界っていうかトラック運送会社の騙せないっていうとこって言えば騙せないところですね(笑)。
瀬尾)
そうですね。
和田)
“トラックがあるかどうか”でほんとに帰ってきているのかどうかっていうのがね、誰でも第三者が簡単にわかるっていうことですね。たしかに。
瀬尾)
ウチの車庫は、門を閉めた後にセキュリティーをかけると回転灯が回るんですけどね。
和田)
はい。
瀬尾)
そういったところもきちっとチェックをして・・・
和田)
もう帰ってこないな(笑)。
瀬尾)
そうですね。あっ、こんな夜8時の時点で、門が閉まって回転灯が回っている。「あ~、本当にもう、夜の仕事はないんだな」っていうのが分かったっていう。
和田)
な~るほど。なんていうんですかね。「採用の言葉・甘い言葉にそう簡単に騙されないぞ」という、そういう若い人たちのアレですね。
瀬尾)
ええ、そうですね。
和田)
おもしろいですね。やっぱ、そこまで見て、やっと申し込みしてくるっていうか・・・
瀬尾)
ええ、そうですね。
和田)
は~、すごいですね。やっぱり全然違いますね。昔のドライバーさん、多分、そんなことされる方いなかったんじゃないかなという感じがね、しますけどね。
瀬尾)
ええ、はい。
和田)
HPなんかでも、やっぱり(若い人は)何を見るんですかね?雰囲気?なんなんですかね?
瀬尾)
一番はやっぱり「雰囲気」ですよね。「どういう人が働いてるのか」とか。そこをやっぱり見てますし。
和田)
なんか写真(を見て)、こんなドライバーさんがいる、自分と合いそうかな?とかそういう感じですか?
瀬尾)
そうですね。あとは「経営方針」なにかもしっかり見てくる子もいるんで。たまにこちらがドキッとするぐらい。
和田)
(苦笑)そこまでしっかり(準備を)やって面接に来てくれるのかっていう。
瀬尾)
ええ、そうですね。
和田)
やっぱりちょっと変わりましたね、最近は。
瀬尾)
変わりましたね。
和田)
やっぱりアレですか。(勤務時間が)短くて、ライフスタイルをそういう風にしたいっていう人は、しっかり下見をして来るという、そういうことなんですね、そうすると。
瀬尾)
そうですね。やっぱり「自分の時間は欲しい」っていうところに繋がっているみたいですね、聞くと。
和田)
は~、なるほどね。特に最近、応募に来る人は、そういう傾向がちょっと強いっていう・・・
瀬尾)
強いですね。
和田)
昔みたいに“土曜日も働かせて”っていう、そういう感じ(苦笑)
瀬尾)
「ガツガツやるからたくさん稼がせてください」っていう人は、本当に少なくなりましたね。
和田)
第一名誠さんがそういう会社だっていうのが分かってて、来るのかもしれないですけどね、逆に言うとね。
瀬尾)
そこは分からないですけど、それもあるかもしれないですね。
和田)
そういう会社(が希望の方)に対しては、また違うところにね、行くのかもしれないですからね。そのへんはあるかもしれないですね。わかりました。それだけ5人もね、新人ドライバーが入る中小の運送会社さんって少ないとは思うんですけど。実際、瀬尾さんなんかが、ちょっと“しくじっちゃったこと“ってあるんですかね。若い子が入って「ワ~イ!」って嬉しかったんだけど、今までの昔のドライバーさんのように普通に扱っていたら辞められちゃったとか、アレレ?っていう。そういう経験っていうのは、どうですか、実際なかったですか?最近じゃなくても、数年前でもいいんですけどね。そんな話がもしあったらお聞かせ願いたいんですけどね。
瀬尾)
う~ん、やっぱり、ここ最近「有給休暇」っていうのをきちっとみんな主張してくるので。「自分は(有給休暇が)後、何日残っているのか」っていうのを明確に伝えてなかった、ですね。はい。
和田)
痛いところですね。今までで言うとね。「どうでもよかった」とは言わないけれど、あんまり意識していなかったところなんでね。
瀬尾)
はい。
和田)
そこはやっぱり信頼を失う感じですか。
瀬尾)
そうですね。「“今あなたは何日権利があって、何日消化したから、あと残り何日ですよ”っていうのを何でもうちょっと明確にしないんだ」っていうのを突っ込まれたことはありますね。はい。
和田)
今はそのへんは改善して、分かるような形になっているっていう・・・
瀬尾)
そうですね。給料明細に(有給休暇の)残数を・・・
和田)
すばらしい!
瀬尾)
記載するようにしています。
和田)
は~、そうですか。でも変わりましたね~。昔、僕みたいなアラフィフの人間なんでね。有給休暇を使うと基本的にダメな人間だっていう風に思われたんで。社長にそんなこと言わない時代でしたけど。今はそういうのを新人さんでも平気で聞いていてくるっていう、そういう形ですか。
瀬尾)
そうですね。そこはもうしっかり主張しますね。
和田)
は~、なるほどね。そのへんでちょっと“辞められる”まで行っちゃうわけですか?やっぱり最初におかしくなってくると。「もうあんまり信用できません」みたいな感じになっちゃうっていうケースもやっぱりあるんですか?
瀬尾)
全てが全てそれが理由ではないと思うんですけど、最後に「そういったところに少し不信感を・・・」っていうことは言われましたね。
和田)
なるほどね。う~ん、なかなかやっぱり違いますね、昔とは。昔は稼がせてあげれば辞めなかったっていう時代だったんだけど、今はやっぱりその休みとか、そういったことをしっかり隠さずに「あなたはこれだけ休めますよ」っていうこと(を伝えること)ができる会社の方が、若い人は信用してくれる、そういう形になってきている、っていうことですかね。
瀬尾)
はい。
和田)
う~ん、なるほどなるほど。あと、コロナ禍ってどうでした?僕のお客さんなんかでも、横乗りしてるドライバーさんがコロナに罹って、教えてもらっている新人さんまで調子がおかしくなっちゃって。今年(2021年)の8月くらいですけどね。「トラック止まっちゃったよ~(困)」みたいな感じでね。「どうしよう~(困)」みたいな感じの経営者の方が結構いたんですけど。瀬尾さんのところはコロナの影響は、ドライバーさんどうですか?ちょっとなんか体調がおかしいぐらいのことはありましたか?
瀬尾)
そうですね。普段だったら特に、こう、問題なく。ちょっと風邪気味ぐらいだったら、このコロナ前は、ね。みんな仕事してくれたりすることもあったんですけど
和田)
そうですよね。
瀬尾)
かなりやっぱりいろんなところで体温を測るケースがあるもんですから。そのあたりは、もう、敏感になって。「休んでもよろしいですか?」ってあったり・・・
和田)
そうですね。
瀬尾)
今やっぱり一番深刻なのは、ワクチンの副反応ですね。
和田)
(苦笑)次の日だけで終わればいいけど、2日くらい調子が悪くなるとか、そういう話、ですか?
瀬尾)
そうそうそう。だから、全員集計して。1回目と2回目のワクチンの日を会社に報告してもらって、ちょっと把握して・・・
和田)
サイクルを・・・
瀬尾)
はい。やらないとまずいですし。
和田)
なるほどね。来年(2022年)も3回目、4回目ぐらいまでは必要な雰囲気はありますからね。なんか。
瀬尾)
そうですね。
和田)
ね、ちょっとその辺の対応は大変ですね。配車を組む時に。みんな同じ日に調子悪くなっちゃったらちょっと困ってしまいますね。
瀬尾)
困ってしまうので。なるべくばらけて打ってもらったりとか、週末の予約が取れるなら、週末を利用してもらったりとか。
和田)なるほどね、う~ん。わかりました。最後にちょっと一点お尋ねしたいんですが。例えば、新人の若手のドライバーさんがですね、入社することによって、何か気づかされた点、勉強になった点っていうのは何かありますか?良い点でも、「ちょっといかんかったな」と、さっきの有休の話は一つ聞きましたけど。良い点とかっていうのは何かありますか?若い人が入ってっていう形で。
瀬尾)
やっぱり、同業他社からもですし、お客さんからも「第一名誠さんは、ほんっとにドライバーみんな若いよね!」っていう。
和田)
う~ん。
瀬尾)
「若いドライバーが多いよね!」っていうところ、から。次々と若いドライバーがまた来てくれるっていうところがありますかね・・・
和田)
なるほどね。やっぱりそうですね。若い人は若い人と一緒に働いた方がなんとなく話題も合うし、なんか楽しいしっていう形なんでしょうね、やっぱり。
瀬尾)
はい。
和田)
“類は友を呼ぶ”じゃないけど。失礼な話、お年寄りの多いドライバーさんだと若い人がなかなか入りにくいっていうことがあるかもしれないですよね、たしかにね。
瀬尾)
5名のうち2名は若い女性を今回思い切って採用したんですよね。
和田)
おっ!“トラガール”っていうやつですよね。
瀬尾)
“トラガール”です。ここもかなり影響大きくて。
和田)
は~。
瀬尾)
お客さん受けも良くてですね。
和田)
やっぱり良いもんですか。
瀬尾)
はじめはちょっと不安もあったんですけど・・・
和田)
うんうん。ちょっとね、パワーも落ちるしっていう話で。
瀬尾)
ええ、そうです。ただ、今となってはほんとによかったな、という風に思っています。
和田)
じゃあ、今後も女性ドライバーも機会があれば募集して入れたいなっていう感じですかね。
瀬尾)
そうですね。
和田)
わかりました。いろいろ今日はすみません。貴重なお話をお伺いいたしましたけどもね。ありがとうございました。
瀬尾)
ありがとうございました。