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活動レポート

2024年改正 改善基準Q&A 休息期間編 未来の運送業界のために休息期間について考える

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※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第25回  2024年改正 改善基準Q&A 休息期間編 未来の運送業界のために休息期間について考える

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

今日も「改正改善基準」の「Q&A」が2023年の3月に厚生労働省から発表されましたので、その内容についてお話ししていきたいと思います。

今日は「休息期間」について話しをします。

いつもと同じく株式会社第一名誠、瀬尾社長とお話を進めていきたいと思います。

瀬尾さん、よろしくお願いします。

 

瀬尾)

よろしくお願いします。

 

和田)

今日は「休息期間」の話を中心にしたいと思うんですけど。現在の「休息期間」は「最低8時間」ですよね?

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

「(休息期間を)8時間取らなきゃいけない」という形になってますけども、「改正改善基準」では“1時間増えて”「9時間」。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

「9時間を下回らない事」っていう話になりましたので、「1時間余分に働く時間がなくなる」という、そういう形になってくるんで、長距離(運送を)やってる方とかは、特に色々大変だっていう話は聞くんですけども。

 実はですね、それとは別で、こういう“規定”があります。「継続11時間以上(休息期間を)を与えるよう努める事とする」っていう、そういう「基準」があるんですね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

“努める”なので、「11時間以上(休息期間を)与えてなくても、別に改善基準の違反にならない」、即ち、「行政処分は受けずに済む」っていう事なんですけど。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

じゃあ「何のために、この11時間以上(の休息期間の基準)があるのか?」っていう話も踏まえて、今日はお話ししたいと思います。

瀬尾さん、じゃあ、「休息期間」っていうのは、一般的に「9時に、例えば(仕事が)始まった」とすると“24時間以内”、「明日の朝の9時まで」で、「今で言うと『8時間』」。

 

瀬尾)

8(時間)、はい。

 

和田)

「来年(2024年)の4月だと『9時間』(休息期間を)取らなきゃいけない」っていう、そういう決まりになってるんですよね。

とにかく「“仕事を始めてから24時間以内”に、絶対に“8 時間以上”、“2024年の4月から”は“9時間以上”(の休息期間を取ること)」っていう形に決まってるんですけども。

じゃあ、この「(継続)11時間(以上の休息期間)」も一般的に言うと、そういう風に考えがちなんですね。「“仕事を始めてから24時間以内”に“11 時間以上”の休息を与えなきゃいけない」。普通はそういう風に考えると思うんです。

だけど、今回のこの「Q&A」では「そうではない」という事が書いてあるんですね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

具体的には、例えばさっきの事例で、「朝の9 時に仕事を始めて、最大15時間の拘束時間をやった」とすると、「(仕事が終わるのは)夜中の0時」になります。その「夜中の0時から最低ラインの9 時間の休息を与える」と、「朝の9時(まで)」なんで、ちょうど「24時間以内で9時間ピッタリ(休息期間を)与えた事になる」んですけども。

 今回のこの「(継続)11時間(の休息)」に関しては、そうではなくて、さらに「明日の仕事を9時じゃなくて11時から(始める)」、要は「2時間(仕事の開始を)遅らせれば」、「“仕事が終わってから次の仕事が始まるまで”の『始業間』」っていう言葉があるんですけど、「『始業間』で11時間空ければ、継続11時間(の休息期間を)与えている」っていう、そういう“解釈”をしますよっていう、ちょっと変わった“解釈”に今回なってるっていう事なんですね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

なので、「(始業から)24時間以内で11時間休息を与える」って話になると、「24(時間)―11(時間)」で「たった13時間しか(ドライバーさんを)働かせられない」っていう形になるので、「それはなかなか(働くことが出来る時間が)短くなるな」っていう話になるんでしょうけど、『始業間』であればですね、定期の仕事をやってる場合だと難しいかもしれないですけども、「明日(翌日)の仕事をちょっと1時間でも遅らせる」ことができれば、「9時間」よりも多く、例えば「10時間休息を取らせる」とか「10時間半取らせる」とかっていうことは出来るので。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

そういう、「休息期間を長く、なんとか取らせる努力をしようとしている会社さん」にとってみると、この「『始業間』で(休息期間の取得時間を)見てもらう」というのは、ちょっとありがたい“解釈”なのかなっていう感じはします。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

「この(継続)11時間(の休息は)、“努力義務”なんで、別に守らなくても行政処分にならないから、そんなに考えなくたっていいじゃないか」っていう風に聞いてらっしゃる方も思うかもしれないですけど、なぜそこの話を今日するかと言いますと、例の2年前ですね、2021年の9月に「脳疾患と心臓疾患の労災認定基準」が緩和されて、今までは「残業が80時間以上なければ」、ドライバーさんが、例えば「脳の病気」とか「心臓の病気」になっても、それは「自身の生活の仕方」とか「遺伝的な問題」でなったのであって、「会社側の働かせ方が問題で、そういう脳・心臓疾患になったのではない」と、即ち「労災にならない」っていう発想だったのを、「そうではない」と。

「80時間(を超える)残業時間がなかった」としても、例えば「60時間とか70時間の残業時間」であったとしても、この「休息期間が11時間以上取れている日」が「全然なかったり」とか「本当に少なかったり」とかっていう話になってくると、「(残業時間が)過労死ラインの80時間を切っていた」としても「脳疾患・心臓疾患による労災認定をする場合がありますよ」っていうね、ちょっと“厳しめ”の「基準」に2021年になったものですから。

そこの事を対策しようと思うんであれば、この「『始業間』の休息期間、11時間以上(の取得)」を守れるような形に、ある程度、やっぱり運送会社としては(今後)やっていく必要があるんじゃないのかな、と、そういう風にちょっと考える訳ですね。

 

瀬尾)

う~ん。

 

和田)

特に瀬尾さんの会社であれば、どうですか。50代以上のドライバーさんの比率は、かなり少ない方かもしれないですけど・・・いないわけではないですもんね?

 

瀬尾)

います、います。はい。

 

和田)

なので、そうすると、そういう方々が、そういう脳疾患・心臓疾患になった時の事を考えた時に、後々、労基署が調査に入った時に、もし。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

「(継続)11時間以上(の休息期間は)取れてますか?」って(監督官に)言われた時に、「全く取れてない」なんて話になると、「ちょっとそういう人に対しての健康配慮・安全配慮が、少し会社として少なくないですか?」と。「健康な人とはやっぱり違うんですから」という話の所は、指摘を受ける可能性がやっぱり高いので。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

やっぱり「(始業からの)24 時間以内で取れない」にしても、「『始業間』で9 時間よりもできるだけ多い休息期間」っていうのも、「9時間半」でもいいし「10時間」でもいいんですけども、「なるべく11時間に近づくような日を増やしていく」っていう「努力」をこれからされていくと、非常にいいのかな、と。そういう意味でのこの「努力義務規定」なのかな、という風には、ちょっと思うんですけど。

 

瀬尾さんの所はどうですか?「(継続)11時間以上(の休息期間の取得)」はどうですか?厳しいですか?人によってですか?

 

瀬尾)

基本的には「11時間以上(の休息期間)」は、もう(既に)取れてるんですけど、やっぱり「人によりけり」ですし、「どの荷主さんの仕事か」によって、「非常に厳しいな~」って感じる運行もあります。

 

和田)

あ~、そういうことですか。なかなかやっぱり、そんなに簡単ではないですか。「11時間」と言われると、さすがに厳しいですか?

 

瀬尾)

厳しいですね。

 

和田)

そういう意味では、それ(11時間という休息期間の設定)はいい線ついてるんですよね。そこまで(身体を)休ませれば、脳疾患も心臓疾患もなりにくいのは、当たり前なんでしょうね、やっぱり。

 

瀬尾)

そうですね。皆さんの所はどうか分からないですけど、当然、翌日の配送を(ドライバーに)「これでお願いします」と。「朝の出発はこの時間に出発して下さいね」と言いながら、その荷物の積み込みに手こずってですね、(作業予定時間が)遅くなった時に、もう出発時間を遅らせようがないんですよね。

 

和田)

遅らせようがないですね、確かに。

 

瀬尾)

そうなんですよ。ここをどうするのかっていう・・・

 

和田)

問題が、やっぱり・・・

 

瀬尾)

問題が出て・・・はい。

 

和田)

出てくる訳ですね。だから、サラっと書いてあるけど、そう簡単じゃないですね(苦笑)

 

瀬尾)

簡単じゃないです。そうなった時に、もう一行(改正改善基準に)足しておいて欲しいな、と思うのが、荷主が配慮するようなコメントを・・・

 

和田)

あっ、そうですね。やっぱりこの「(継続)11時間(の休息期間)」というものが結構大事になってくるんだから、「『9時間』じゃなくて、『11時間(の休息期間)』(をドライバーに取らせる必要がある事)」は、(荷主さんにも)将来的には考えて欲しいっていうね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

じゃないと、やっぱり着時間を指定するのは荷主さんですからね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

(荷主さんに)「『11時間(の休息期間)』が 結構大事なんだ」ってことが分かって頂ければ、(運送会社に)配慮してくれる可能性は、やっぱり今までよりは高まる、という話ですね。

 

瀬尾)

「着時間を今度(後ろに)ずらす」とか。例えば、もし高速なんかの利用で(着時間の遅延が)少し補えるのであれば、「高速利用を認める」とか、そういった事を(荷主さんに)してもらえないと厳しいかな、という風には思いますね。

 

和田)

そうですね。これからのドライバー世代が新しい若い子達になってきた時には、やっぱり「(継続)11時間(の休息期間は)当たり前」(な状況)になんとかしていきたいですね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

今の10代の子が20代になった時に、「え~、11時間休めないの?」って(言うような事にはならないようにね)。

割合、忙しいですよね?「休息期間」が、例えば「9時間」とか「10時間」って、仕事が終わって、通勤の帰る時間とか含めたら、普段あんまりゆったり家で出来ない・・・。

 

瀬尾)

出来ないですよね。ええ。

 

和田)

だから、そうすると、若い子は「いや~、こんな生活をずっとこれから40(代)、50(代)になっても続けていくのかな」っていうと、なんかちょっと寂しく思っちゃう可能性はありますよね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

やっぱり「11時間(の休息期間が)」あれば、もうちょっと家族ともゆったり話したり、お子さんの相手をしたり、という事ができるけど、「9時間(の休息期間)」では・・・。もう風呂入って色々やったら、(家族に対しても)「もう、うるさい!」って感じでね、ちょっとイライラしちゃったりするかもしれないですよね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

だから「夢」にもなってくるかもしれないですけど、やっぱり「11時間(の休息期間)」が普通に取れるような運送業界になってくると、また良い人材も戻ってくるんじゃないのかな、という風には思いますね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

分かりました。 一応そういう「(継続)11時間(の休息期間)」も、今、「努力義務」で、今回は厚生労働省の方は、何て言うのか“緩く”してくれましたけど、これも前回の話の、「『連続運転時間の中断』が『原則休憩』」っていうので、「あんまりそこ(特例)で胡坐をかいてはいけないよ」っていう話と一緒で、こう(改正改善基準に)書いたってことは、いずれ「『(継続)11時間(の休息期間)が原則』 にしたい」ってことですから、5年後なのか、それが10年後なのか分からないですけどね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

やはり、これも荷主さんと共にですね、運送事業者さんも何とか(11時間の休息期間が)取れるように持っていけないかっていう「努力」はしていかないと、若い人にそっぽ向かれちゃう業界になっちゃうから、やっぱり大事ですね。「11 時間(の休息期間)」っていうのもね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

はい、今日はですね重要なこの「休息期間」の話を厚生労働省が出した「Q&A」に基づいて話をさせていただきました。

瀬尾さん、ありがとうございました。

 

瀬尾)

ありがとうございました。

 

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