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活動レポート

京浜線衝突事故から学ぶ これからの安全管理とは?~運行経路の重要性~

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 ※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第8回 京浜線衝突事故から学ぶ これからの安全管理とは? ~運行経路の重要性~

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

第8回。数年前に京浜線で発生した大型トラック事故から何を学ぶのか、という話を今回したいと思います。

 

つい最近なんですけどね、『事故調査委員会』がまた新たな「事故調査報告書」を公表しました。それが、数年前に発生した「京浜線での大型トラックの衝突事故」の件なんですけども。

この(事故)調査報告書によるとですね、事故の主な原因っていうのが何個か挙がっています。その話をですね、この主な原因を見ながら瀬尾さんとお話していきたいな、と思います。

 

瀬尾さん、よろしくお願いします。

 

瀬尾)

はい。お願い致しします。

 

和田)

まず、事故調査報告書でですね、この鉄道と衝突した事故の主な原因の1つ目として「“安全な運行が出来る経路”を運送会社がドライバーに指示をしていなかったこと」と、こういう風に書いてあるわけですね。点呼の時なんですかね、始業点呼の時に、ちゃんと安全な経路、例えば大型トラックであれば、大型トラックが安全に通行できる経路っていうのを「ドライバーまかせではなくて“運送会社の方から”指示しているかどうか」これが出来ていなかったっていう風に、今回1点目として指摘されているんですけども。

 

瀬尾さんの会社ではどうですか?こういう「運行経路」について、どの辺りまでドライバーさんに具体的な指示しているのなっていうのをお尋ねしたいんですけどね。

 

瀬尾)

そうですね。誰か一度でも行っていれば、その先輩ドライバーから新たに行くドライバーにきちんと「このルートで行くように」っていう(アドバイスをする)ようなことは、常日頃しておるんですけど。

 

和田)

はい。

 

瀬尾)

誰もが初めて行くようなところですと、事務所側で事前にルート確認をして「この道で行きなさい」という指示は出しております。

 

和田)

なるほどなるほど。僕のお客さんでも、長距離ドライバーさんなんかだったら結構簡単ですよね、ルートはね。途中変なところは行かないですけども、高速道路を1つか2つ(利用して)っていう話で(目的地に向かって)行ってね。後、(高速道路を)下りてからどうなるかぐらいは多少あるにしても、そんなに運行経路の指示は難しくないのかなっていう感じはするんですけど。

 

瀬尾さんの会社はどちらかというと「地場」の仕事が多いっていう話だと思うんで。「地場」と言えば(笑)、道路は無数にあるっていう風に・・・

 

瀬尾)

ええ。そうですね。

 

和田)

・・素人ながら考えちゃうんですけど。どうですか?いちいち全部の経路まではさすがに難しいとは思うんで、主な経路っていう形で、どんなような感じで(運行経路の指示について)工夫しているのかなっていうのをお聞きしたいんですけどね。

 

瀬尾)

そうですね。当然会社を出発してからの全ての経路を説明するわけにはいかないものですから・・

 

和田)

それはそうですね。

 

瀬尾)

最後到着する(目的地の)最寄りの幹線道路から最後、目的地までのルートだけは説明するようにはしております。

 

和田)

先輩ドライバーが、「ここは危ないからもう一本超えてから右に曲がった方がいいよ」とかそういうのは、色々やりあっているんですかね?お互いに。

 

瀬尾)

そうですね、お互いにそこは教え合ってやっています。

 

和田)

ありますもんね。「明らかに1本目を左折すれば荷主さんの所にすぐ着くんだけど、そこを左折する時は、学生とかが自転車でよく横断するから危なくて、ちょっと遠回りだけど、2本超えてから左折した方がすごく安全に曲がれる」とかね。色々細かい指示ルートがあるみたいですけどね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

そういったところが、先輩同士で、先輩と後輩の間で情報共有ができていれば、比較的この1個目の主な事故の原因っていう「運行経路の指示」みたいなもの(の対策)は上手く行くんじゃないのかなっていう感じがしますけどね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

2つ目がですね、事故調査報告書に書いている主な事故の原因の2つ目なんですけど、「緊急時対応の教育」っていう、これが出来ていなかったっていう風に今回指摘されているんですね。

具体的には、「万が一予定していた(運行)経路を外れてしまった場合、そのまま無理やり進んでしまうんじゃなくて、Uターンするか、もしくは迂回して安全な運行経路に戻る」とかね、そういったことをするように「教育しなければいけない」っていう話になっているんですけども。

 

どうですか?これも瀬尾さんのところで、実際の話はやっぱり、たまにありますか?「(ルートと違う道に)入っちゃった」みたいな「狭いところ(道)にやっちゃった」みたいなことは、どうですか?ありますか?

 

瀬尾)

そうですね。たまにそういったことは起きるもんですから。2020年に「カーナビ一体型のデジタコ」を導入しまして。

 

和田)

ほお~、はい。

 

瀬尾)

このカーナビは、各車両に車検証の情報を入力することによって、その車両に合った道しか案内されないようにしてあるものでして。基本的には初めて行くような時は、そのナビを頼りに行くようにと指示してあります。

 

和田)

なるほど。

 

瀬尾)

そんな中、それでも迷ってしまったりとか何かあった場合は、事務所に電話をしてもらえれば、全ての車両が事務所側で今どこにいて、どっちを向いているのか分かるもんですから・・

 

和田)

あ、そうか!なるほど!今、(車両の)向きも分かるんでしたっけ?!

 

瀬尾)

向きもわかります

 

和田)

(笑)それはすごい!なるほど。

 

瀬尾)

だからそれを見ながら電話誘導をしてあげることは出来るんで、どうしても困った場合は、事務所に電話をしてもらえれば、事務所側から電話で誘導しております。

 

和田)

今のその、僕もちょっと知りたいんですが、新しいナビ付のデジタコですよね。あれって例えば途中で配車先を一つ追加したいっていう場合も、会社側で(情報を)入れてあげることは出来るんでしたっけ?

 

瀬尾)

そうですね。その車両に向けて会社でナビの設定をしてあげられることも出来ますし。

 

和田)

まだあまり使ってないですか?それ(その機能)は。

 

瀬尾)

そうですね。そこは、よっぽど現地にいきなり行ってっていう(指示を出す)ことがあんまりないもんですから。

 

和田)

そっかそっか、いきなりの仕事っていうのはやってらっしゃらない、フリー便みたいなものはやってらっしゃらないから・・・

 

瀬尾)

はい、そうですね。

 

和田)

だからそんなにない・・・

 

瀬尾)

そこはそんなにはないですけど。

 

和田)

ふ~ん。でも、渋滞とか事故があった時は、会社側で見てあげて、ルートを変えてあげることが出来るっていうのは、ドライバーとしてはかなり精神的には楽かもしれないですね。今までよりは、そういう事が出来るようになっているっていう話ですからね。

 

瀬尾)

そうですね。事前にその先の渋滞情報・事故情報なんかも全て見れるもんですから。天候も全て分かるもんですから。

 

和田)

なるほどね。大分、ドライバーさんの運転席内の環境も良くなってきてるっていう感じですかね?そうすると。

 

瀬尾)

そうですね。昔に比べたらすごくやりやすいと思います。

 

和田)

特に今なんかドライバー不足で、これから異業種っていうか他業種の人からドライバーになりたいっていう人が出てきた時も、やっぱり多分・・土地勘がどうしてもないでしょうね。運転が好きでもね。

 

瀬尾)

そうですね。今、20代30代のドライバーっていうのは、なかなか地図を読み込むことが・・

 

和田)

ない?

 

瀬尾)

・・ないもんですから、今回の“カーナビ”というものは非常に喜んでくれてますね。

 

和田)

喜んでますか(笑)やっぱり(笑)

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

僕みたいに50代でも、カーナビを使い始めるともう地図を見なくなりましたからね、やっぱり(笑)

 

 瀬尾)

そうですね。今はどちらかと言うとなかなかもう地図は見ないですよね。

 

和田)

見ないですよね、逆に。昔は地図をどれだけでも読み込めましたけどね。今(地図を)見てると、老眼もありますけど、なかなかキツイものがあるかなっていう感じなんで。

若い人もしくは女性ドライバーとかが安心して運転するっていう意味では、ナビが、タクシーも付いているくらいですから、トラックもやっぱり付いていた方がいいし、会社側からも色々変更が出来るような形のものを付けてあげた方が(尚更良いですよね)。ただ単にドライバーがいじらなければいけないナビであれば結局“(事故を起こす)危険度”は変わらないですもんね?そんなにね。

 

瀬尾)

そうですね。はい。

 

和田)

だからそれはすごくいいのかなっていう感じがしましたね。そういう意味では、減るかもしれないですね、間違った道に、狭い道に入っちゃってっていうのは。僕のお客さんでも新人ドライバーさんがよくやらかしちゃうことが多いんですけども(苦笑)、多分(運行経路の間違いは)減るかもしれないですね。

 

瀬尾)

そうですね。ホントにナビ通りに行けば、”変なところに入って行った”っていうのは聞かないですね。

 

和田)

ちなみになんですけど、この事故調査報告書でも、やはり「ナビでもたまに間違うことがあるんで、その辺はドライバーさんに気を付けてもらって、明らかにちょっと狭そうだなって思った時はナビを信用せずに(運転するように)」っていう風には但し書きで書いてあるので。今回のその新しいナビも、これから使っていかないと分からないは分からないですけども、その辺はドライバーさんも注意していかないといけないかもしれないですよね。たしかに。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

そういうところはあるかなっていう感じがしますね。はい。

 

他はないですか?何か。別に「運行経路系」ではそんなに心配するところはなさそうですかね?

 

瀬尾)

“決められたところに行く”ケースが多いもんですから。

 

和田)

なるほど、なるほど。そんなに出て来ないのかなっていう感じですかね?

 

瀬尾)

はい、そうですね。

 

和田)

ここの今回の(事故)調査報告書で言われていたのが、トラックがドン付き(行き止まり)に行って、左に曲がろうと思ったら、住民の人に「ここはドライバーさん、通り抜けできないよ」って言われて、じゃあ右に曲がるしかないって話になって、線路側に入って行くっていう形になったらしいんですけど。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

その時に、何回もバックしたらしいですね、やっぱり、曲がり切れずに。その時にトラックの左の後ろが、道路標識だったと思うんですけど、それに擦りそうになっちゃったっていうのがあって。そのトラックにやっぱり”バックアイカメラが付いていなかった”らしいんですよ。

 

瀬尾)

(苦笑)はい。

 

和田)

なので、今回の事故調査報告書でも、「バックアイカメラがもし“ない”場合は、左の後方確認がちゃんとしっかりできる“技量”があるかどうかまで確認しなさい」っていう話に、わざわざ但し書きが付いているっていう形なんで・・・

 

瀬尾)

え~?!はあ・・・

 

和田)

未だに可哀想なことに、“バックアイカメラが付いていないトラック”ってあるんですね?僕は、大分お客さんでは(バックアイカメラが)付いているのが普通になってきたんですけど(苦笑)、”付いていない”って・・・

 

瀬尾)

そうですね(苦笑)ちょっと、なかなか考えにくいっていう・・・

 

和田)

(苦笑)考えにくいですよね?(後方が)見えないもんですもんね、やっぱり(バックアイカメラが)ないと。

 

瀬尾)

はい・・・。もう、どうだろう・・20年・・

 

和田)

(苦笑)

 

瀬尾)

・・・以上前から全車(にバックアイカメラを)付けているんで、ちょっと考えにくいなっていう(苦笑)

 

和田)

考えにくいですよね?

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

やっぱりそういうのもあって、モタモタしちゃって、結局、線路内に入った時にはもう電車がこっちに来てるっていう状況になっちゃったっていうところがあるので、「バックアイカメラは基本的には付けなさい」っていう話にはなっているみたいですけどね。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

瀬尾さんのところは、全車両(にバックアイカメラが)付いているっていう形なんでね、その辺は問題ないのかなっていう風には思いましたけどね。

とにかく今回のこの鉄道接触事故に関して言えば、ホントに「(運行)経路」の事を頻繁に「”会社側から”とにかく指導を出せ」っていうことが何回も書かれているもんですからね。地場の運行であっても、やはり「会社側からどういう指示を出しているか」っていうところは、“ドライバーまかせ”にするのではなくて、“運行管理者”とか“配車マン“からある程度の指示を出していくっていう形はしていかないと、事故をやった時にはそういうことを言われてしまうのかなっていう感じがしましたけどね。

 

それにしても、これから「ロボット点呼」が増えてきて、来年度?2022年の4月以降に、「乗務後の点呼」はある程度人がいなくても出来るようになるかもしれないっていう話になってて。いずれは、「乗務前(の点呼)」も無人なのかある程度ロボットで出来るっていう形にしたいっていう話みたいなんですけど・・

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

この「(運行)経路」の関係でいうと、なんか・・・危ないですね?先輩ともしゃべる機会もなくなってくるのかっていう、ロボットだけっていう話になると、結構なんか僕は心配していますね、その「乗務前点呼」に関して言うと。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

人間の交流で色々情報が得られることが多いはずなのに、それがロボットだと、たしかに「脈を測る」とか「体温を測る」とか「アルコールチェックをする」とか、そういうのは分かるにしても、何かその見えないところの“ヒューマンの力”っていうかな、“人間の力”っていうのはやっぱり事故防止のためには重要なところがあるのかな、っていう感じがしてるんで。

コミュニケーションが第一名誠さんでも減りませんか?もし「ロボット点呼」になったら。良いところが消えちゃうような気がしないでもないですけどね、なんかね(苦笑)

 

瀬尾)

そうですね、全部ロボットにしてしまうと、コミュニケーション不足になりそうですね。

 

和田)

長距離運行だと特にそういうことやりがちですよね?「夜中に帰ってきたり」とか「深夜早朝に出ていく」っていう形になると、結構“接触なし”でやってくと、ホントに「(運行)経路(の決定)もドライバーまかせ」っていう形になっていっちゃうんじゃないのかなっていう気がして。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

なんか重要な“生の情報”が、お互いコミュニケーションが密に出来なくなってくると、またそういった(運行経路の間違いによる)事故が増えてくるんじゃないのかなっていうね、「ロボット点呼」に関していうと、少し私としては気になる所が、こういう話を聞いていると思うなっていう感じがしましたけどね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

とりあえず、今回はこういう鉄道事故に関して、今まで運送会社があまりやっていなかった、「“ドライバーさんまかせ”にした(運行)経路の選択」っていうのをやはり”会社側が主体的に関与”していかないと責任を問われることになりますよ、というそういう話をさせて頂きました。

瀬尾さん今日はありがとうございました。

 

瀬尾)

ありがとうございました。

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