※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。
トラマネラジオ第27回 検査だけでは足りない!?SAS(睡眠時無呼吸症候群)に対する取り組み
進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)
ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)
和田)
今日は、「『SAS』の事故」についてお話をしたいと思います。
最近、私のお客さんで「SAS=睡眠時無呼吸症候群」が原因で、事故が半年間で2件ぐらいあったんです。
その内1件は、残念ながら「死亡事故」っていうことで、改めてこの「SASの取り組み」が、ものすごくトラック運送業界では重要なんじゃないかな、という風に感じましたので、これついてお話を進めていきたいと思います。
今日も、株式会社第一名誠の瀬尾社長にお越し頂いて、話を進めていきたいと思います。
瀬尾さんよろしくお願いします。
瀬尾)
よろしくお願いします。
和田)
冒頭お話ししたんですけど、このたった6ヶ月間で、しかも私の周辺の話ですけど、「2件」もこの「SAS=睡眠時無呼吸症候群」が原因であろうということで、事故があって。
1件は、残念ながら「死亡事故」、もう1件は、幸か不幸か、ガードレールにぶつかっての「物損の単独事故」っていう形ではあったんですけども。
やっぱり「ドライブレコーダー」が今あるもんですから、「運転席の中」とか「実際ぶつかる時の映像」とかっていうのは、もうリアルに見ることが出来て、「いや~、ちょっと怖いな・・・」と。正直、私も「もし、もう1件の方も物損じゃなくて人が歩いてたらどうなったんだろう」っていう風なことを考えると、「かなり怖いな」と思ったんですけども。
瀬尾さんの会社で、「『SAS』の簡易検査」みたいなのから大体始めるところが多いんだと思うんですけど、どうですか?こういった取り組みっていうのは、過去にでもいいんですけども、やられたことはありますか?
瀬尾)
そうですね。2018年に(ドライバー)全員に「(『SAS』の)簡易検査」を実施しました。
和田)
5年前ですね?はい。なるほど。
瀬尾)
5年前です、はい。ただ、5~6人が「要精密検査」という結果が出たんですけど、それぞれ病院に(精密検査に)行かせて、その結果が、幸いにも「全員が何でもなかった」っていう所で。そこにちょっと安心し切って、この5年間、何もしてない状態になっちゃってますね。
和田)
せっかく(簡易検査で要再検査に)反応したから(病院に)行かせたんだけど、精密検査(を受けさせるため)に。それで、「全部“白”だった」って話で、社長としては、ドライバーさんに対して「ちょっと(精密検査まで行かせるのは)どうだったのかな?」と思ってしまった、ってことですね?
瀬尾)
そうですね。ドライバーからも「何もなかったじゃん!」と(言われてしまって)。
和田)
なるほど。そういう話で・・・
瀬尾)
「わざわざ病院に行ったのに!」っていう。
和田)
(苦笑)「疲れて仕事終わった後に(病院に)行ったのに」。
瀬尾)
はい。
和田)
でも、結果「『SAS』だった」って言われるよりは良いんですけども、なかなか忙しいドライバーさん、疲れてるドライバーさんから見ると、「なんだよ~」っていう話ですか?お医者さんからも「全然大丈夫だよ!」みたいな感じで言われると、「え?」って(苦笑)
瀬尾)
「全然問題ないよ!」っていう感じで。
和田)
(笑)(お医者さんに)「どこが悪いの?」みたいな感じの顔されると、ちょっと辛いって言えば辛いですよね。確かにね。
瀬尾)
そうですね。だから「また次(の簡易検査の実施)に踏み込めなくなってしまった」っていうのが、正直な所ですね。
和田)
なるほどなるほど、すごい分かりますね、お立場としては。実際、確かにそういうパターンが(見られがちですよね)。
「簡易検査」なんで、確かに、検査(結果)が「多分『SAS』だろう」と言われても、実際(精密検査に)行ったら「白だった」ってことは、当然、確率としては高いんじゃないかな、っていう感じがするんですけども。
今回の私のお客さんの中であったその「『SAS』の事故」っていうのはですね、実は、その(精密)検査も終わって、診断されたんですね、「『SAS』だ」っていう風に。
瀬尾)
はい。
和田)
多分瀬尾さんもご存知だと思いますが、「SAS」と診断されると「CPAP(シーパップ)」っていう、マスクみたいになった機械を寝てる間に装着して、「息が止まった時に酸素が流れる」ような形で、「息が止まらないようにする」っていう、「『SAS』を治す機器」ではないんですけども、「(病気を)悪化させないように」っていうかね、「呼吸が止まって、心臓がバクバクして(しまって)心臓を痛めないようにするため」の「医療器具」っていうのを「寝る前に付ける」っていう形に、大体、処方というか(医師から病気の治療のために装着するように器具を)出されるんですけども、その辺(治療を)やってたドライバーが、今回、「運転中にいきなり寝落ち」して「事故」をやっちゃったっていう、こういうちょっと“新たな展開”って言うんでしょうか。
瀬尾)
う~ん。
和田)
今まではどっちかって言うと、「事故をやって、(病気を)疑って、(病院で)調べたら『SAS』だった」っていう感じで、そういうパターンが多かったんですね。
今回は「(既に)治療を『SAS』(への対処)でCPAPを使ってる人」が、「(SASの症状が出て事故に)なっちゃった」っていう所で、ちょっと私としても少しビックリしたというかですね、「えっ?そんな風なの?」みたいな話で。
そこの所を今回お話ししたいな、と思うんですね。
瀬尾)
はい。
和田)
実際、毎月1回通院してて、ちゃんとお医者さんに行ってですね、指導って言うんですかね、アドバイスをもらっていたんですけど、実際の所、何が「原因」だったかって言うと、実はこの「CPAP」を勝手に、“無意識”なのか“意識的”なのかは別として、「寝てる間に外れてた日が多かった」っていう事なんですよね。
瀬尾)
はい。
和田)
例えば、「半月間」で言うと、「半分以上」が「CPAPをつけてない日がある」。若しくは「(CPAPを)付けていても30 分とか1時間ぐらいで外れてた」っていうのが、お医者さんのそのデータで分かったって、こういう事が、私も改めて分かったんですよね。
瀬尾)
はい。
和田)
実際どのくらいかって言うと、「CPAPをあまり取り付けなくなってから、17日か18日ぐらい後」に「事故」を起こしちゃったっていう形なんですけど。
残念なことに、ドライバーさんは必ず月1回(病院に)行って、CPAPの中に埋め込まれてるチップみたいなものを先生に渡すと、先生がおそらくパソコンでそのデータを読み込んで、「先月あんまりCPAP付けてなかったかどうか」っていうのも確認されて、いわゆる「指導」を受けてるはずなんですよ、「もうちょっと頑張って付けて下さい」(といったアドバイスがあったはずなんですが)、その「(CPAPを)付けてない、あんまり付けれてない」っていう情報が、「会社の方」に、「点呼係」とか「社長」に対して、「(その)情報が上がってこなかった」っていう所なんですよね。
瀬尾)
う~ん、はい。
和田)
てっきり「CPAPを付けてるから、もうこのドライバーは睡眠時無呼吸(症候群)による事故はないだろう」っていう風に、半ば「ノーマーク」な感じになったっていう所が、今回の「新しい気づき」だったので。
瀬尾さんの所もどうですかね?(『SAS』の簡易検査を実施されたのが)5年前なんで、ドライバーさんも5歳年取ってますから、5年前大丈夫だった人でも、ひょっとしたら(『SAS』に)なってる可能性ありますしね?
瀬尾)
そうですね、はい。
和田)
「(SAS患者は)太ってる人が多い」って言うけど、「痩せてる人」でも結構いますしね?実際の話は。だから、太ってる人だけ簡易検査をやれば大丈夫かっていうとそうでもないので。
やはり、5年経ったっていう事で、(簡易検査の)機器も良くなってきている可能性は高いですから、「SAS(の簡易検査)」をやってもらって、もし精密検査をして、CPAPが必要になった場合には、やはりこの「(CPAPの装着結果)レポート」を何とか(ドライバーから会社に)出してもらって、それで場合によっては、「1ヶ月のうち半分ぐらい(CPAP)を付けてない」っていう話であれば、色々とまた先生にアドバイスをもらったりしていくっていう事で、やっぱりちょっと「『SAS』に関する運送会社さんの安全管理の取り組み」というのは、少し「1段階上げなきゃいけない時期」に差しかかってるんじゃないかな、っていう感じはしますけどね。
どうですかね?大分、ドライバーさんも5歳年取れば、また変わるんじゃないですか?いくら第一名誠さんは、かなり若い人が多いとは言え。いかがですかね?
瀬尾)
そうですね。当然それもありますし、この5 年間に新たに雇い入れたドライバーもいますんでね。
和田)
そうかそうか、そうですね。新しいドライバーさんいるし。やっぱりドライバーさんには色々言われるかもしれないけども(笑)、どうですかね?
瀬尾)
そうですね。また今年中にちょっと(『SAS』の簡易)検査をしたいな、という風に思いますし、後、こういったお話聞いて、久しぶりに検索したら、そういう(『SAS』の)検査機関も5年前に比べたら3倍ぐらいに増えてたんで。
和田)
へ~。
瀬尾)
久しぶりに調べたら。
和田)
なるほどなるほど。
瀬尾)
だから、より一層(『SAS』の簡易検査は)やりやすくはなったのかな、っていう風に思う(んです)。
和田)
大分、そうですね。『SAS』っていうのも運送業界だけじゃなくて、全ての人に結構、周知されてきてますよね?この病気っていうのはですね?
瀬尾)
そうですね。
和田)
だから、「花粉症」や何かと一緒で、「アレルギー」や。「SAS」も結構、皆さん気になって(病院に簡易)検査しに行って、「夜、眠れないっていう人は、やはり『SAS』だった」っていうのは分かったりしてるんで、お医者さんもそういう(簡易)検査をする所は、やっぱり5倍ぐらい、5倍ですか?5倍ぐらい増えてました?
瀬尾)
3倍ぐらいですね。
和田)
3倍ぐらい。でも、すごいですね!5年で3倍ですからね!
瀬尾)
増えてますね。
和田)
やはり病気に関して、クローズアップされてきてるのかなっていう感じはしますので。
瀬尾)
はい、そうですね。
和田)
何とか第一名誠さんとしても、5年ぶりであっても、1回(ドライバーさん)全員(に『SAS』の簡易検査を)やってみて・・・
瀬尾)
はい。
和田)
D判定とか出てきた人には、ドライバーさんには、大変申し訳ないけど、手間だけど、やはり「精密検査」に行ってもらって、チェックしていくっていうのはね(必要ですよね)。”事故を起こしてから”じゃ遅いですもんね?
瀬尾)
遅いですね、う~ん。
和田)
それは非常にドライバーさんとっても、刑事責任も重たくなる可能性あるし、会社にとってもやっぱり色々責任が重たくなるかもしれないので、なんとか久しぶりに「『SAS』の簡易検査」をやって頂いて、またその進捗状況っていうんですかね、このトラマネラジオでもお話を聞かせ頂けると一番良いのかな、と思います。
瀬尾)
そうですね。
和田)
そういうことで、今日は「『SAS』の事故が増えてきたよ」と。
やはり「通院」だけじゃなくて、その「(治療状況)レポート」ですね、「『SAS』(の治療のために出されたCPAP)が(就寝中にきちんと)装着してるかどうか」っていう「レポート」も運送会社としては(内容を)確認して、「もうちょっと(『SAS』に対する)きめ細かいフォローアップをしていかないといけない時代」になってきたのかな、っていうお話をさせて頂きました。
瀬尾さん、今日もありがとうございました。
瀬尾)
ありがとうございました。