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活動レポート

国交省からの通達を読み解く 健康起因事故を起こさない取り組み

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※この投稿は、トラック・マネジメント協会 公式YouTubeチャンネル「トラマネラジオ」の内容を記事化したものです。

トラマネラジオ第21回  国交省からの通達を読み解く 健康起因事故を起こさない取り組み

進 行:運送業専門コンサルタント 和田 康宏(以下、和田)

ゲスト:株式会社第一名誠 代表取締役 瀬尾 国大(以下、瀬尾)

 

和田)

今日は「健康起因事故」の話をしたいと思います。

先日、高速バスが大型トラックに追突するという事故が発生しました。

どうやらこの事故の原因が、運行中にバスの運転手さんが体調不良になったんだけども会社に連絡もせず、しかもなるべく早く安全な場所に停めることもしないまま運転した結果、前方を走っている大型トラックに追突。乗客9名が負傷するという、こういう事故が起きました。

この事故を受けて、国土交通省が今回「通達」を出したんですね。

やっぱり国土交通省が「通達」を出すということは、この「健康起因事故」っていう事に関して、“トラック・バス・タクシー全て”に及ぶんですけども、これから「一番重要な取組みになる」っていう事のメッセージではありますので、その「通達」の内容を見ながら、今日も株式会社第一名誠の瀬尾社長とお話をしたいと思います。

瀬尾さん、よろしくお願いします。

 

瀬尾)

よろしくお願いします。

 

和田)

「通達」の一つ目にですね、このように書いてあります。

「運転者は運行中に体調不良等を生じた場合には、周囲の安全を配慮しつつ車両を安全な場所に停止し、運行管理者に報告し指示を受けること」という内容があります。

これは、体調不良になって運転し続けてはいけないので、当たり前の内容だと言えば当たり前の内容なんですけど、意外に“ちょっと調子が悪い”ぐらいだと、「次のガソリンスタンドで休憩して様子見ようかな」とか、「次のコンビニまで5kmぐらいだから走って、そこで体調を見ようかな」とかみたいな感じに思いがちじゃないかな、と思うんですけど。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

瀬尾さん、どうですか?この辺のところのドライバーに対する「教育」とか「周知」っていうのは、どのような感じで行われてますでしょうかね。

 

瀬尾)

そうですね。それは、「少しでも頭が痛かったらすぐ停まれ」(苦笑)っていう訳にはちょっとなかなかいかないんですけど・・・

 

和田)

そうですよね(苦笑)なかなか・・・ええ。

 

瀬尾)

「このまま運行を続けたら、これはまずいな」っていう状況になれば、「直ちに停まって連絡するように」という事は伝えてあります。

 

和田)

これはどうなんですか?「点呼場」だとか「休憩室」とかに何かそういうメッセージを貼り出すっていうような感じなんですか?どんなような感じなんですかね?

 

瀬尾)

そうですね。「点呼場」に常に見える位置に貼り出してあります。

 

和田)

なるほどなるほど。実際、対面点呼を朝する時なんかは、こういう指示もやっぱり出すんですか?

「体調不良の時は、直ちになるべく早く停まりなさい」っていう感じの指示は出されるんですか?

 

瀬尾)

そうですね。なかなか一人一人にそれを出すわけにはいかないので、「教育」の時にそれを伝えて、後は見える位置に(メッセージを)掲示してあるっていう感じです。

 

和田)

あ~、そういうことですね。特に、“風邪とかで病み上がりの人”なんかは、こういう個別に指示を点呼の時にするのは、悪くはないのかなっていう風には思いますけどね。たしかにね。

 

瀬尾)

そうですね。ちょっと風邪気味だとか・・・

 

和田)

そうそうそう・・・

 

瀬尾)

”前日まで休んでた”っていう人には指示を出しやすいと思いますけど、”何にも(病状が出て)ない人”にはちょっと難しいですね。

 

和田)

(笑)なかなか難しいですよね、たしかにね。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

以前「自動車事故調査委員会」が調査した案件でも、20代ぐらいのドライバーさんが前日夜に熱が38度ぐらいになって、次の日も出勤しちゃって、運転中に急に力が入らなくなって。(前方に)信号待ちで止まっている乗用車がいるのが分かりつつ、ブレーキを踏む力がなくてぶつかったっていうね、こういう(事故がありました)。結局亡くなったんですけど、追突された方の(運転者の)方は。そういう事故があって。

その20代のドライバーさんも若いし、まさか自分がブレーキを踏めなくなるような、力がなくなってしまうような風になるとは、多分予測出来なかったんじゃないかなって思います。実際、「5㎞先ぐらいのスタンドで給油する時に、少し休んで様子を見よう」っていう話にはなっていたみたいなんですけど、わずかその”5㎞”の間で意識が朦朧としてしまって、やっぱり事故を起こしちゃってって。なかなか、その原因もインフルエンザなのか風邪なのかも分からなかったみたいなんですけど、(体調の急変は)読めないですよね、たしかにね。社長がおっしゃるようにね。

 

瀬尾)

そこですね。う~ん。

 

和田)

「頭が痛いから、この人(この後)5分ぐらいで意識がなくなるのか」って、なかなか見抜けない部分はあるんでしょうけど。(対策を)やるとしたら、せいぜい会った時に、「普段と比べると元気がないな」とか「何か薬を少し飲んでるな」とか、あと「病み上がりだな」っていうところの人には、そういう(急な体調不良時の)指示を特に出しておくといいのかなっていう感じがしますけどね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

何か「体温管理」とかで「乗車拒否」っていうか「乗せない」とかいう基準は今、あるんですか?コロナで“37度5分”とか何か(発熱の基準が)あるじゃないですか?その辺は、今どうなんですか?(第一)名誠さんの方では。

 

瀬尾)

そうですね。(基準は)37度5分なんですけど、どうしても今、(体温を)表面温度(で確認する)っていうんですかね?

 

和田)

そうですね。簡単に調べるやつだから。

 

瀬尾)

非接触の(検温器を使用しているので)。それで37.5(度)を超えたら、ちゃんとそのドライバーだけ(改めて)脇で測らせて。

 

和田)

あっ、すごいですね。はあ~、きっちり(再検温して)。

 

瀬尾)

きっちり(再検温しています)。それで問題がなければ出発しますし。

 

和田)

はあ~、なるほど。で(熱が)あれば、(運転させるは)ダメかなっていう感じの判断をするかもしれないっていう話ですね。

 

瀬尾)

そうですね。はい。

 

和田)

いいですね。やっぱりちゃんと普通の脇で測る(タイプ)の(体温計)も置いてある、という形ですね?

 

瀬尾)

そうですね。はい。

 

和田)

いいですね。僕もお客さんの所を訪問すると、やっぱり今、体温計ね、手首だとか顔あたりですると、僕も34度くらい(の結果)で、「死んでるかな?」ってい時がたまにありますけど(笑)

 

瀬尾)

(笑)そうですね。

 

和田)

そうすると心配になってきて(笑)「もう一度測りましょうか?」って言うと、「もういいいです」って言われるんですけど(笑)。

ドライバーさんの場合は、やっぱり運転するから、(心配な時は)脇で測る(タイプの体温計)のでもう一回(体温を)測るのはすごく大事な感じがしますよね、たしかにね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

なるほど。あともう一点。「通達」の中の二つ目に「交代要員」ですね。もしドライバーさんが点呼に来て、「あっ、ちょっとこの人(運転させるのは)危ないわ」って思った時に、「危ないわ」で乗るのをやめさせるのはいいけども、「じゃあその荷物を誰が運ぶんだ」っていう問題が、特に中小企業さんなんかだと、余分にドライバーさんを抱えている訳ではないでしょうから、(こういった問題が)出てくるとは思うんですけど、この辺ってどこまでの対応が、カバーできるような体制なんですか?瀬尾さんのところは。

 

瀬尾)

そうですね。常日頃は、“どこまで”って、人数で言うと、2人までです。

 

和田)

それは代わりに走るのはどういう方が多いんですか?

 

瀬尾)

当然、乗務員で余剰ドライバーを・・

 

和田)

いないですよね?

 

瀬尾)

置いておくなんてことは出来ないもんですから、どうしても、(事務所の)中にいる事務職・管理職が代わりに・・・

 

和田)

臨時に・・・

 

瀬尾)

(ドライバーとして)走るっていう事しかできないですけど。

 

和田)

なるほどね~。中小企業のほとんどがそうじゃないですかね。管理職が(トラックの)運転免許を持ってて、最悪の時にはそういう風に(代替ドライバーとして荷物を)運ぶっていう形でやられるのかなっていう感じがしますけどね。

なかなかそれって、瀬尾さんのところがご経験されたかどうか分からないですけど、“たまに走る“そういう管理者って、「監査」の話で言うと、「初任診断」をそれでも受けてないといけないっていうのがあるじゃないですか?

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

そういうのって、大丈夫ですか?(受診)漏れとかないですか?

 

瀬尾)

あの、(管理者の)入社がかなり古いんで・・・

 

和田)

あっ、そうですか、そうですか。

 

瀬尾)

はい。大丈夫です。

 

和田)

月に1回、2回しか乗らないけども初任診断は既にもう前に受けているっていう・・・感じですか?

 

瀬尾)

すっごい前に受けています。

 

和田)

大昔に(笑)

 

瀬尾)

(笑)

 

和田)

意外とあれ見られますからね、監査で、よく。”月に1回か半年に3回ぐらいしか乗らない人”に対しても、「運転者台帳作ってますか?」とか「初任診断受けてますか?」とかね。監査では意外と細かい所、いやらしい所を聞かれたりするんで、そういうのを交代要員の人に関しては忘れないようにしておかないと危ないのかなっていう感じがしますよね。

 

瀬尾)

幸いにも、ウチの管理職はみんな元ドライバーなんで。

 

和田)

あっ、であれば、大丈夫ですね。

 

瀬尾)

ちゃんと運転者台帳もありますし。

 

和田)

あります(笑)

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

「管理者で(入社以来勤務して)きちゃった人」で、うっかり「ちょっと(トラックで)走れるっていう人」がいると(初任診断の受診漏れが)危ないのかなっていう感じがしますけどね。

 

瀬尾)

そうですね。

 

和田)

瀬尾さんの所はどうですか?この最後の「通達」の三つ目は、運送会社さんの職場の中で、やはりそういう「体調が悪いっていう事が気軽に話し合えるかどうか」、そういう「職場作りが大事だ」っていう話を言われているんですけど

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

実際、ドライバーさんが(社内で)言える感じの雰囲気(作り)は何か工夫されていますか?“体調が悪い”とかっていう事を。なかなか言いづらいと思うんですけど。どうですか?

 

瀬尾)

そうですね。言いやすいかどうかは実際みんなのことで分からないんですけど・・・

 

和田)

ええ。

 

瀬尾)

ただ、実際に「調子が悪いんで運行途中に変わってもらえませんか?」っていうこと(をドライバーから言われたこと)があって。

 

和田)

あっ、なるほどなるほど。

 

瀬尾)

「じゃあどこかすぐに止めて下さい」って、(交代のドライバーを)手配して(その後の仕事を)代わったりっていうことをしてるんで。

 

和田)

なるほどなるほど。

 

瀬尾)

みんなそういった(対応を会社がした)事を知ってるんで、「自分もそうなった時には、ちゃんと(会社は)対応してくれる」って思ってくれてるとは思うんですけど。

 

和田)

ですよね。普通、そうじゃない会社だと、言いにくい雰囲気になっちゃいますからね、そういうの。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

だから(職場環境は)非常にいいのかなっていう感じがしますけどね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

たしかにそうですね。最近の若い子は特に言ってくれるみたいですね。

前日に「熱が出そうだ」ぐらいのことで(会社に)電話がかかってくるお客さんがいましたけど(笑)。「(熱が)出てからかけてこい!」って話で(笑)

 

瀬尾)

(笑)そうですね。

 

和田)

でもそのぐらい若い人は体調に慎重であれば、会社としても助かるは助かりますよね、やっぱり。(体調が悪くても)何でも頑張ってくれても、どこか(出先)で意識を失くなっちゃって大きな事故を起こしちゃうと、大変な問題にはなりますからね。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

その辺は、瀬尾さんの所も職場環境としては(会社に)言いやすい、健康状態も相談しやすい環境にはなっているので、すごく良く(職場作りが)出来てるのかなっていう感じがしますけどね。

あとは、「血圧」を聞きたいです、最後に。「血圧」って測られていますか?ま、今は義務ではないんですけど、法律では。実際には。どうなんですか?血圧計とかも置いてらっしゃるんでしたっけ?

 

瀬尾)

置いてます。

 

和田)

(血圧計の)活用の仕方はどんなもんですか?

 

瀬尾)

「健康診断で高血圧と診断された方のみ」朝晩、というか、「出庫・帰庫」で測って、その記録をずっと追っています。

 

和田)

何か(記録が)残るやつなんですね?そういうパソコンとかにデータが残るんですか?

 

瀬尾)

紙で出てくるんですけど・・・

 

和田)

(紙が)出てくるんですね・・・へえ~。

 

瀬尾)

病院と同じような感じで、(結果が)紙で出てきて、その裏に(ドライバーの)名前を書いて、点呼者が一旦預かって、後から事務員さんたちが(PCに)入力して。そうすると意外に11月ぐらいになると(血圧が)高くなってくるとか・・・。

 

和田)

すごいですね!

 

瀬尾)

比較できるんですよ!

 

和田)

さすが(血圧を)測り続けてるから(笑)・・・

 

瀬尾)

ええ、そうなんですよ。

 

和田)

12月ぐらいになると(血圧は)高いかもしれないですね。寒いから。

 

瀬尾)

そうですね。寒くなると(血圧が)高くなって、暖かくなってくると少しずつ落ち着いてくるっていうのが見えてきたりとか。

 

和田)

じゃあやっぱり、特に寒くなった時、血圧の高い人に関しては、点呼の時でもいろいろ指示したり、「ちょっとふわっと(めまいが)したら1回止まらないといけないよ」ってことも(伝えるとか)。

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

すごいですね。(血圧測定を)1年通してやっていると、(血圧が高くなる)時期が如実に出てくるわけですね!

 

瀬尾)

見えてきましたね!はい。

 

和田)

なんかすごいですね。なんか病院みたいな感じで(笑)

 

瀬尾)

「薬をもらう時に、ちゃんと先生にその辺を相談しなさいよ」って(ドライバーに)言えるもんですからね。

 

和田)

時期によって、(薬の)成分を多く(強く)するとかっていう話とかいろいろで・・・

 

瀬尾)

ええ。

 

和田)

たしかに、この12月・1月とか、冬あたりはやっぱり危ないって言う話は聞きますのでね。

その辺もさすがですね!そういう(血圧測定の記録が)残るものがあるので、”経年で(データが)見れる”という話が、やっぱり素晴らしいな、という感じがしましたけどね。

 

瀬尾)

はい。

 

和田)

今日は「バスが高速で大型トラックに追突するっていう(事故の)」事で、それ(の原因)が「健康起因事故」だったっていうので、国土交通省が(運送事業者には)これからこういうことに気を付けてほしいという「通達」が出たものですから、その内容についてお話をしてみました。

瀬尾さん今日もありがとうございました。

 

瀬尾)ありがとうございました。

 

 

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